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机械加工の基础知识机械加工の基础知识 1 機械加工の基礎知識 はじめに 筆者は,数年前より機械工学科の大学4年生を研修生として受け入れ,卒業研究の指導を行っています。学生たちには,主として研究?実験装置開発の課題を与え,その装置のほとんどを学生と筆者の「手作り」で製作しています。そのようなことから,学生たちが最初に眺める機械加工のテキストとして,本ホームページを作り始めました。 昨今,若者の「理工系離れ」が問題となっていることから,工学分野では「もの作り」や「創造性」という言葉をよく聞きます。そして,学生たちが「汚くて,危...

机械加工の基础知识
机械加工の基础知识 1 機械加工の基礎知識 はじめに 筆者は,数年前より機械工学科の大学4年生を研修生として受け入れ,卒業研究の指導を行っています。学生たちには,主として研究?実験装置開発の課題を与え,その装置のほとんどを学生と筆者の「手作り」で製作しています。そのようなことから,学生たちが最初に眺める機械加工のテキストとして,本ホームページを作り始めました。 昨今,若者の「理工系離れ」が問題となっていることから,工学分野では「もの作り」や「創造性」という言葉をよく聞きます。そして,学生たちが「汚くて,危ない作業,機械加工」を好まないとの話も聞きます。しかし,筆者が,研修生を指導していても,学生たちが「もの作り」を嫌がる傾向は見られません。むしろ,研究室でプログラム作成や文書作成などを行うデスクワークよりも,「もの作り」に熱中しているように思えます。そのような経験から,学生たちが比較的自由に工作機械を扱うことができる「もの作り」の環境,設備,を整えることが技術者育成に重要であると考えています。このことは学生ばかりでなく,筆者を含めた工学に関係する全ての若い技術者に当てはまると考えています。 一方,機械加工は,デスクワークと比べて,危険を伴うのは確かです。できる限り危険性をなくす努力が必要なのは言うまでもありませんが,「もの作り」から危険性を完全に消し去ることはできません。機械加工を行う際には,何が危険なのか,なぜ危険なのかを知っておくことが重要です。本ホームページではそのような情報を含めるように心がけています。 現在の工学分野では,いわゆる「分業」で作業が進められています。一般の理工系企業,メーカー,では,設計者が機械加工をすることはほとんどありません。場合によっては,設計者が製図をしないこともあると思います。筆者が勤務している公的な研究所においても,研究者が機械加工をすることは極めて希です。企業や研究所が生産性や研究成果を重視すること,それを最適化すると分業作業になることは否定できません。しかし,多尐能率が悪くなったとしても,自らが考えた発想を「手作り」で製作することは,新たな発想を産むことにつながり,その後の工学研究あるいは工業技術の発展につながるものと確信しています。 平成13年12月 海上技術安全研究所 平田 宏一 2 第1章 とりあえず知っておきたい基礎知識 本章では,実際の機械加工を始める前に知っておきたいことや旋盤加工やフライス加工に共通な内容につい て説明する。 機械加工の大まかな流れ:機械加工の位置付けや流れについて考える。 機械加工を考える 機械開発,もの作り,における機械加工の位置付け を考えてみる。図1に示すように,発想,設計,から 始まり,組立図や部品図を作図する,製図,。そして,図1 機械加工の位置付け その部品図に基づき,機械加工を行う。その後,完成 した部品を組み立てて,機械を完成させる。 工作機械を扱うだけが機械加工ではない。部品図を 見て,加工手順を考えた後,材料や工具を準備する。 必要に応じてジグ,製作を補助するための道具,を作 ることもある。そして,材料を切り出して,形状を仕 上げていく。そして,最終的に穴あけやねじ切りなど の加工を行って部品を完成させる。 一連の流れの中で最も重要なことは,加工手順を考 えることである。加工手順は部品の形状や材質によっ て異なるのはもちろん,要求されている加工精度や使 用する工作機械によっても異なってくる。 図2 機械加工の流れ 能率のよい機械加工 機械加工において,正確な部品を製作することが重要であるのは言うまでもない。一方,できる限り短時間 で能率のよい加工が要求されることがある。確かに,機械加工の初心者よりも機械加工のベテランの方がはる かに加工が早い。しかし,実際に工作機械を動かしている時間は,加工速度に制限があるので,初心者とベテ ランとの差はほとんどない。能率よく機械加工を進めるためには,工具を交換する際の手際のよさや適切な加 工手順の決定が重要である。どのような場合でも加工の作業を急いではいけない。 切削加工とプレス加工 機械加工の代表的なものとして,切削加工とプレス 加工,あるいは塑性加工,がある。切削加工とは,刃 もので材料を削る加工であり,切り屑が出るのが特徴 である。その代表的な工作機械として旋盤やフライス 盤があり,これらは一つの工作機械で様々な形状の部 品を製作できるという特徴がある。そのため,実験装 置などの単品製作に適している。 一方,プレス加工は,金属材料の塑性,一度曲げる とそのままの形状を保つ性質,を利用した加工である。 プレス加工は切り屑が出ないため,材料を無駄なく使 えるのが特徴であり,大量生産に適した加工法である。 しかし,一対の型に対して,一種類の形状の部品しか 作れないので,実験装置などの単品製作には適してい ない。 本ホームページのほとんどは,切削加工について述 べている。筆者には,プレス加工,大量生産,につい ての知識や経験が全くないからである。 図3 切削加工とプレス加工 3 バリ取り:正確な部品を作るための基本。 バリ取りは機械加工の基本 "バリ"とは,材料を切ったり,削ったりした際に材 料の角にできる"出っ張り"のことである。図1に示す ような目でよく見えるバリもあるが,触ってみないと わからない小さなバリもある。ヤスリを使って丁寧に バリをとることは,高い精度で機械部品を作るための 基本である。材料を切ったり,削ったりした後には,図1 バリ こまめにバリをとるように心がける。 なぜバリをとるのか, ?機械加工では,材料をバイス,万力,やチャックに固定して加工することが多い,図2,。材料にバリが残っていると,材料がまっすぐに固定できないので,加工面が傾いたり,曲がったりする,図3,。もちろん,小さい切り屑が挟まっていたりしても同様である。 図3 バリがあると??? 図2 材料の固定 ?バリがあると,部品の正しい長さを測定できない。測定の前にはバリをとる必要がある。 ?大きい工作機械を動かしているとき,作業者は,けがをしないように注意する。しかし,何となく材料を持っているときや運んでいるときには注意を怠る。バリで指をけがすることはとても多い。 ?当然であるが,部品にバリが残っていると,正しい 組立ができない。 図4 バリがあると??? バリの取り方 4 板材のバリ取り 板材を切り出しり,削ったりすると,必ずバリがで きる。作業台の上などに材料をしっかりと押さえて, ヤスリを使ってバリをとる。ヤスリは押して削るのが 基本である。 図5 板材のバリ取り 旋盤加工後のバリ取り 旋盤加工をした場合も角にバリが残っている。旋盤 を回しながら,ヤスリを当てれば,簡単にバリをとる ことができる。指がバリに触れるとけがをするので気 をつける。 図6 旋盤加工のバリ取り 穴あけ加工後のバリ取り ドリル加工やタップによるねじ切り加工をした後の バリは,穴の直径よりも大きいドリルで削り取る。尐 しのバリであれば,ドリルを押し付けながら手で回せ ばよい。バリが大きい場合やドリル穴が多い場合はボ ール盤を使うとよい。 図7 穴あけ加工のバリ取り 寸法の測定:ノギスとマイクロメータを使う。 ノギスを使う 機械加工において,部品の寸法,長さ,を測るには,ノギスやマイクロメータを使用する。 図1に示すアナログ式,バーニヤと呼ばれる目盛のある形式,のノギスでは1/20 mmの最小単位で測定でき るのが普通である。デジタル式のノギスでは1/100 mmまで測定できるものがある,図2,。 5 図2 デジタル式のノギス 図1 アナログ式のノギス ノギスは,部品の辺の長さや外径のほか,内径や深さも測定できる,図3,6,。 図3 外径の測定 図4 辺の長さ測定 図5 内径の測定 図6 深さの測定 測るときは垂直に ノギスは,測りたい寸法に対して,垂直に当てなければならない。複雑な部品の寸法を測定する場合など,ノギスが斜めに当たっていることも尐なくない。 マイクロメータを使う 精度の高い"はめあい"が必要な軸などを加工する場合,マイクロメータを使う。図7に示すマイクロメータは5/1000 mmの最小単位まで測定できる。 6 図7 マイクロメータ 図8 マイクロメータを使った測定 ノギスとマイクロメータを使い分ける 構造上,ノギスよりもマイクロメータの方が正確な寸法を測定できる。しかし,全ての寸法をマイクロメータで測るのはとても能率が悪い。マイクロメータは,測定をするための時間がかかるためである。マイクロメータの使用は最小限に押さえるのが望ましい。 加工精度と寸法公差:寸法公差や表面粗さ,基準面の重要性。 加工精度と寸法公差 寸法公差の必要性 機械加工において,部品図に表示された寸法,基準寸法,と全く同じ寸法で加工を行うことはできない。そのため,部品の長さに応じて,実際の寸法として許される最大値と最小値が決められている。寸法公差とはその最大値と最小値の差のことである。部品図に何の表示もない場合,通常は基準寸法を中心としてプラス側,大きく作る側,とマイナス側,小さく作る側,に同じだけの寸法公差がある。すなわち,許される範囲内で,プラス側に作ってもマイナス側に作っても構わない,普通公差,。 一方,歯車と軸などのように,機械部品では穴と軸とをはめ合わせて使用することが多い。このような関係を「はめあい」と言い,軸の直径が穴の直径より小さくなければ組み立てることができない。もちろん,軸の直径が小さすぎると歯車は適切に機能しない。したがって,このような軸や穴には,プラス側かマイナス側のどちらか一方の寸法公差,最大許容寸法,最小許容寸法,が必要になる。このような寸法公差は,部品が設計される際に決められるのが普通である。機械加工を行う際には寸法公差を十分に考えながら加工を進めなければならない。なお,実現できる加工精度は,工作機械や作業者自身の能力や加工方法,手順,による。以下,はめあい,寸法公差,が必要ないくつかの例を紹介する。 軸と穴の寸法公差 図1は魚ロボットの関節部分をイメージした図面である。部品1及び部品2の穴に軸が入る場合,穴の直径をプラス公差,リーマ加工,に,軸の直径をマイナス公差にする。また,部品1のくぼみに部品2が入るので,くぼみ部分の寸法をプラス公差に,部品2の寸法をマイナス公差にしている。なお,歯車や継手などの市販されている機械部品の穴は,既にプラス公差で作られているのがほとんどである。 リーマの寸法公差 精度のよい穴をあける場合,リーマと呼ばれる工具を使うことがある。市販されているリーマはプラス公差に作られている。例えば,直径12 mmのリーマを使えば,穴はプラス公差に仕上がる。 7 図1 軸と穴の寸法公差 軸受の取り付け あらゆる機械において,回転する軸には軸受 ,ベアリング,が用いられることが多い。様々な 寸法の軸受が規格化され市販されている。通常, 軸受の外径はマイナス公差に作られている。軸受 を取り付ける穴はプラス公差にしなければなら ない。一方,軸受の内径はプラス公差に作られて いるのが普通である。軸受の中を通る軸はマイナ ス公差にする必要がある。 図2 軸受の取り付け Oリング溝 Oリングとは気体や液体のシールに使う機械部品で ある。Oリングを正しく機能させるためには,Oリング を取り付ける溝を適切な寸法公差で仕上げなければな らない。必要とされる寸法公差は,Oリングのカタログ に記載されている。 図3 Oリング溝 ワンウェイクラッチの取り付け やや特殊であるが,穴をマイナス公差に仕上げる必 要がある例を紹介する。図4に示すワンウェイクラッ チは,ころ軸受と同じような形状をしているが,中の 軸は一方向だけに回転できる構造となっている。これ を正しく機能させるためには,ワンウェイクラッチの 外輪と穴とがしっかりと固定されていなければなら ず,ワンウェイクラッチを取り付ける穴をマイナス公 差で仕上げる必要がある。ここでは,直径11.98 mmの ハンドリーマで穴を仕上げた。 図4 ワンウェイクラッチの取り付け 8 プラスの公差,それともマイナスの公差, もし,設計者自身が加工を行うのであれば,最低限,部品の公差がプラス側,大きく作る,なのか,マイナス側,小さくする,なのかをしっかりと把握しておく必要がある。 表面粗さ 表面の凹凸をマイクロメートルの単位で測り,それ を数値で表したものを「表面粗さ」という。一般に, 表面粗さを測定しながら機械加工を進めることはほと んどないが,筆者は測定したことがない,,表面をど の程度のきれいさに仕上げる必要があるのかは機械加 工の手順を考える上でも重要である。 例えば,図5(a)のようにOリングでシールする表面 は滑らかに仕上げる必要がある。表面がざらざらだとO リングを脱着する際,Oリングを傷つけてしまい,シー ル性能を損なうためである。また,図5(b)のように部図5 滑らかな表面仕上げが必要な例 品同士が摺動する箇所も表面を滑らかに仕上げる必要 がある。 旋盤やフライス盤の加工で表面を滑らかに仕上げる 場合,一般に「送り」を遅くするとよい。 基準面 前述の通り,基準寸法と全く同じ寸法の部品を作ることはできない。そのため,機械加工においては,部品のどの面を基準にして長さや位置を決めるかが重要である。そのような基準の面を「基準面」という。基準面の選び方を間違えると,加工誤差が積み重ねられ,最終的に組み立てることができない部品を作ってしまうこともある。部品図や組立図をよく見て,どの寸法が重要であるのか,そして基準面をどこにとるのかをしっかりと考えるように心がけたい。 基準面のとり方は部品の形状や使用方法によって様々である。一概には言えないが,板材を組み立てる場合,他の部品と接触する面を基準面とすることが多い,図6,。また,円周上に穴をあける場合などは,円の中心を基準点,基準の位置,とすることもある,図7,。 図6 軸を入れる穴 図7 フランジの穴 けがき作業:材料に線を引くための工具を紹介する。 けがきに使う工具 けがきとは,紙の上に図面を描くのと同じように,材料の上に傷をつけて線を描くことである。穴あけの位置を決めたり,切り出しの位置や基準の線を決めるために行う。図1,図6に,けがきに使う工具を紹介する。 正確さが必要とされる「けがき」とされない「けがき」 9 穴の中心位置を決めたり,材料の中心や基準を決めるためのけがき作業には正確さが必要とされる。そのような場合,時間をかけて丁寧にけがく。一方,帯のこ盤などで切断する位置を決める場合などは,切断後に部品の形状を仕上げていくので,それほど正確でなくてよい。その場合,時間をかける必要はなく,能率よく作業するべきである。 機械加工においては常に能率よく作業を進めるよう,心がけなければならない。 図2 スケール,ものさし, 説明するまでもないが,直線を引くために使う。 図1 けがき針 材料に線を引くために使う。先端が尖っていて, 材料より硬い材質でできている。 図4 センターポンチとハンマー 図3 コンパス ボール盤で穴をあける際に,穴の中心位置に印を 製図と同様,円や円弧を描くために使う。先端はつけるために使う。けがき線,中心線,の交点に合尖っていて硬い。 わせるのが普通である。 10 図6 ハイトゲージ 図5 ブロックと定盤 写真のハイトゲージは1/100 mm単位の高さまでデ 通常,けがきの作業は定盤,じょうばん,と呼ばジタルで表示?設定できる。先端がけがき針になっれる平らな台の上で行う。写真のような四角いブロているので,定盤の上を滑らせて材料をけがくことックがあると便利である。 ができる。スケールで線を引くよりも正確なけがき 作業ができる。 けがきと穴あけ 以下,簡単な部品にボール盤で穴をあける手順を紹介する。 (1) 横方向の中心線をけがく (2) 縦方向の中心線をけがく ブロックに材料を当てて,ハイトゲージを滑らせ てけがく。 材料を90度回転させて,垂直な線をけがく。 11 (3) 位置を合わせる (4) 穴あけ センターポンチで印をつけた後,ボール盤のドリ ドリルで穴をあける。 ルの位置に合わせる。この写真の場合,部品が小さ かったためバイスに固定している。 (5) 穴あけ 切り屑がドリルの溝に貯まらないように,何度か出し入れをしながら穴をあける。。 ドリルについて:穴あけについての基礎知識。 ドリルについて ドリルを使う ドリルは,穴あけ加工に使用する工具であり,機械加工の中でも最もよく使われる工具の一つである。先端部分が「刃」になっており,金属加工に用いられるドリルは,先端の角度が90度または120度になっているのが普通である。 ドリルの直径は,1 mm以下のものから40 mm以上のものまで,様々なものが市販されている。ただし,チャック部が平行なストレートドリルは,通常,直径13 mm以下である。ボール盤などのチャックは直径13 mmまでの太さまでしかチャックできないものが多いので注意する。13 mmを越えるドリルは,チャック部がテーパー,斜め,になっているテーパードリルである。このようなドリルはフライス加工や旋盤加工の際に使用される。 図1 ドリル 図2 テーパードリル 12 ドリル加工をするための工作機械 ドリルはボール盤,フライス盤,電動ハンドドリルなどに取り付けて使われる。最も精度が高い位置に穴をあけることができるのはフライス盤である。一般に,ハンドドリルは穴の位置がずれやすいので,特別な場合を除き,機械部品を作る際には使用しない方がよい。 図3 ボール盤 図4 フライス盤 図5 電動ハンドドリル ドリルを研ぐ 約6 mm以上のドリルはグラインダーを使って自分で研ぐことができる。切れるドリルを研ぐのはかなり熟練がいるが,基本的にはドリルの2面の刃先が材料に当たるようにすればよい。 その手順としては,まず,刃先を垂直に真横から見て2枚の刃先の角度を等しく,しかも先端が中心線に一致するように,ドリルを手で回しながら削る。角度が異なっていたり,中心がずれていると,片側の刃だ 図6 ドリルの先端部 けしか材料に当たらない,図7,。 次に,片方の刃づつ,刃先に「逃げ角」をつける,図8,。逃げ角がないと刃先が材料に当たらないからである。図8(c)に示すように,一見すると逃げ角があるようであっても,先端だけが平らになっていることがあるので注意する。 13 図7 刃先の角度を等しくする 図8 逃げ角をつける 円筒部品のけがきと穴あけ加工:ボール盤で円筒部品の円周上に穴をあける。 円筒部品のけがきと穴あけ加工 円筒部品の円周上に穴をあ ける 機械部品では,円筒部品の円 周上に複数の穴をあけることが 多い。図1に示す部品において, 4つの円周上の穴をボール盤で あける手順を紹介する,図2, 図1 部品図 7,。 図2 円柱材料を固定する 図3 穴の中心線をけがく 材料を写真のような四角いブロックに固定し,デ ブロックを90度の角度に寝かせて,垂直な3本の ジタルハイトゲージで寸法を測りながら,横方向の中心線をけがく。図2と同様,ハイトゲージを上面 中心線,材料の中心1本と穴の中心2本,をけがく。に当てた位置を基準とする。 最初にノギスを使って材料の外径をできるだけ正確 に測定しておき,ハイトゲージを上面に当てた位置 から半径に長さだけ降ろした位置が材料の中心であ る。 14 図4 センターポンチで印をつける 図5 けがきを終えた材料 穴の中心,けがき線の交点,にセンターポンチを けがきを終えて,センターポンチの印をつけた材当てて,ハンマーでたたいて印をつける。この印が料。 そのまま加工精度になるので,できる限り丁寧に。 図6 ボール盤による穴あけ 図7 完成 ボール盤で所定の位置に穴をあける。それほど気 完成した部品。 を使わなくても,たいていの場合はセンターポンチ で印を付けた位置に合う。 Vブロックで円柱部品を固定する 図8及び図9に示すVブロックも円柱部品を固定するために使用する。しかし,図1のようなブロックのような材料を固定するねじが付いていないので,やや使いづらい。,筆者は,けがきのために使ったことはない。, 図8 Vブロック 図9 Vブロックによる材料の固定 タップとダイスを使った「ねじ切り」:ねじの基礎知識とねじの切り方。 タップとダイスを使った「ねじ切り」 15 ねじについての基礎知識 「ねじ」は多くの機械に使われている。ねじには様々な種類があり,その全てを紹介することはできない。ねじ切り加工を始める前に,最低限知っておきたい基礎知識を紹介する。 ねじの種類 ねじには,ねじ部の形状によって,三角ねじ,角ねじ,台形ねじがある。ほとんどの場合,三角ねじが機械部品として使われている。角ねじや台形ねじは旋盤の送りなど,正確な運動伝達などに使用される。 また,ねじの規格として,メートルねじ,記号M,,管用平行ねじ,記号PF,,管用テーパねじ,記号PT,,ユニファイねじ,記号UNC,UNF,などがある。通常,機械に使われるのはメートルねじである。さらに細かく見ると,メートルねじには並目ねじと細目ねじがある。メートル並目ねじが最も一般的なねじであり,メートル細目ねじはそれよりもピッチ,図1参照,が細かいねじである。まずは,「ねじ」,「メートル並目ねじ」と考えておくとよいであろう。 ねじの用語 図1はねじの外観を模式的に表している。ねじの種 類,寸法,を表すのに最も基本となるのが「ねじの呼 び」である。メートルねじの場合,雄ねじの外径で表 される。例えば,外径が5 mmのメートルねじは「M5」 となる。 ねじの寸法を表す用語は実に多彩であるが,ここで 図1 ねじの用語 は,ねじ部の最も大きい直径を「外径」,最も小さい 直径を「内径」と呼ぶことにする,これらは正式な呼 び名ではない,。ねじ切り加工は基本的に切削加工,材 料を削り取る加工,であるので,雄ねじを作る場合は 「外径」の太さの材料からねじの部分を削り取ること になり,雌ねじを作る場合は「内径」の太さの穴,下 穴,をあけてからねじの部分を削り取ることになる。 ここをしっかりと押さえておけば,ねじ切りの初歩的 なミスを防ぐことができるだろう。 また,ねじの重要な寸法としてピッチがある。ピッ チとは,隣り合ったねじ山の間隔,距離,である。こ の値が合わないのねじ同士が接合できない。 16 図2 ねじ切り加工のイメージ ねじとバカ穴 ねじは一般に部品と部品の接合に使用される。例えば板と板をつなぐ場合,一方の板にはねじを切るが,もう一方の板には「外径,ねじの呼び,」よりも大きい穴,これを「バカ穴」と言っている,をあける。バカ穴が小さすぎると,わずかな加工精度の悪さでねじが入らなくなる。逆に,バカ穴が大きすぎると材料の「がた」が大きくなり,ねじが正しく機能しなくなる。すなわち,適切な大きさのバカ穴をあけなければならない。大まかな目安として,バカ穴は,外径,ねじの呼び,より10%程度大きくするとよい。例えばM3の場合は直径3.2 mmまたは3.5 mm,M4の場合は直径4.2 mmまたは4.5 mm,M5の場合は直径5.5 mm程度である。 図3 ねじとバカ穴 ねじ切り加工 雌ねじを作るときはタップ,雄ねじを作るときはダイスと呼ばれる工具を使う。適切なタップやダイスがないときには,第3章で述べるように,旋盤でねじを切ることもできる。 ねじ切り加工における注意事項 タップやダイスを使用してねじを切るときに共通して言える注意事項は以下の通りである。 (1) タップやダイスが材料にまっすぐ,垂直,当たるようにして切り始める。 (2) タップやダイスの中に切り屑が貯まらないよう に,尐し送っては,時計回り,尐し戻し,反時計回図4 タップとダイス り,という作業を繰り返す。 (3) ねじを切るときには必ず切削油を塗る。 タップを使った雌ねじの加工 雌ねじを切る工具が図5に示すタップである。タップは通常タップハンドルに固定して使用する,図6,。手順としては,最初に適切な大きさ,深さの下穴をあける,表1参照,。そして,切削油を塗ってから,タップをゆっくりと時計回りに回してねじを切る。 タップには様々な種類があるが,図5は組タップと呼ばれる3本セット,No.1,No.3,のタップである。通常,先端が最も尖っているNo.1タップから使用する。タップがまっすぐに入りやすいからである。下穴の深さぎりぎりまでねじを切る必要がある場合は,先端が比較的平らで先端近くまでねじが切れるNo.2または No.3タップを使用する。 図5 組タップ 細いタップは折れやすい。タップの内部に切り屑がたまったり,その切り屑が切削熱で溶けて固まったり,あるいはタップの先端部が下穴の先端に当たったりすると,簡単に折れてしまう。タップが折れたら,普通 17 は取り去ることはできない。 図6 タップとタップハンドル 図7 タップによるねじ切り加工 表1 タップの下穴 タップの下穴 表1に主なメートル並目ね じの下穴並ぶに管用ねじの 寸法と下穴を示す。下穴の直 径は,ねじの外径からピッチ を引いた直径程度と考えれ ばよい。また,これらの値は あくまでも目安として考え ておくとよい。例えば,ステ ンレス鋼のような削りにく い材料にねじを切るとき,標 準よりもやや大きい下穴を あけるとよい。 ダイスを使った雄ねじの加工 雄ねじを切る工具が図8に示すダイスである。使用方法はタップの場合とほぼ同じであるが,ダイスを材料にまっすぐ当てるのが難しく,タップと比べて切り始めにくい。そのため,材料の直径をねじの呼びよりもやや小さめに仕上げておき,端部の角をしっかりと落としておく,面取り,とよい。もちろん,材料を小さくしすぎると隙間があり,強度が低いねじになってしまう。 ダイスでねじを切る場合,旋盤のドリルチャックを利用すると,簡単にダイスを材料にまっすぐ当てることができる。図9の左写真は材料を止まっている旋盤 のチャックに固定し,ドリルチャックでダイスを垂直図8 ダイスとダイスハンドル に押しながら,ねじ切り加工を始めている,当然であるが,旋盤を回したら危険である。,そして,ある程度ねじが切れてから,手で題すハンドルを回し,中央写真,,ねじを完成させる,右写真,。 18 図9 ダイス とダイスハンドル ねじ部を垂直に組み立てる方法 タップやダイスにより加工するねじは必ず曲がってしまい,完全にまっすぐなねじを切ることは不可能と言ってよい。ねじを使って高精度な機械部品の固定?組立を行いたい場合,図10に示すように,ねじ部に垂直を求めるのではなく,部品の「面」を利用するとよい。 図10 ねじ部を垂直に組み立てる方法 グラインダ:卓上グラインダは機械加工の必需品。 卓上グラインダは機械加工の必需品 グラインダは,円形の砥石を高速で回転さ せて,材料や工具を削る,研磨する,工作機 械である。部品や工具のバリをとったり,ド リルや旋盤のバイトを研ぐときに使用し,機 械加工に欠かせない機械の一つである。 これだけは気をつける グラインダはシンプルな機械であるが, 旋盤やフライス盤と比べて,かなり危険性 が高い機械と言える。使用時には様々な注 意が必要である。 (1) 作業時に砥石の近くに指があること が多いので,指を巻き込まれないように注 意する。研削中,部品や材料が熱くなるこ図1 卓上グラインダ とがあるが,軍手などは指を巻き込まれや すいので使用禁止である。 (2) 小さい部品などを削る場合,部品が巻 き込まれることがある。部品が巻き込まれ ると勢いよく飛んでくることがあるので 19 注意する。 基本的に砥石で削ることができるのは, 鉄系材料だけである。アルミニウム合金や 銅合金,木材などは砥石の目が詰まってし まうので使用できない。 あると便利なハンドグラインダ 図2に示すハンドグラインダも回転する砥石を利用する工具である。図1の卓上グラインダと比べて薄い砥石を取り付け,溶接の後処理やバリ取り,場合によっては材料の切断に使用する。あると便利な工具であるが, 卓上グラインダと同様,危険な工具の一つである。 図2 ハンドグラインダの外観 図3 ハンドグラインダの使用方法 材料の種類と形状:いくつかの代表的な金属材料を紹介する。 機械材料 機械部品に使われる材料は無数にある。大きく金属材料と非金属材料に分けられ,そして金属材料は鉄鋼材料と非鉄金属に分けられる。材料の違いによって,工具を使い分けたり,あるいは加工の手順を考える必要がある。それ以前に,設計時に指定された材料を間違えないようにしなければならない。 アルミニウム合金 アルミニウム合金にも多くの種類があるが,全般的 3な特徴としては,軽量であること,約2700 kg/m,, 比較的柔らかく,加工性がよいことなどがあげられる。 機械加工の観点から見ると,純アルミニウム系,1000 系,とAl-Cu系材料,2000系,とは大きく異なる。純 アルミニウム系は粘っこいため,曲げ加工が容易であ るが,著しく切削加工が難しい。一方,快削合金,A2011, やジュラルミン,A2017,に代表される2000系アルミ ニウム合金は,鉄鋼材料に匹敵するほどの強度を持つ ものもあり,切削性に優れている。しかし,ロウ付け図1 アルミニウム合金,A2017, や溶接には不向きであり,曲げ加工もしにくい。両者 を外見上の違いで区別するのは難しく,実際には削っ てみないとわからない。 アルミニウム合金は独特の色,やや白っぽい銀色, をしているため,外観で鉄鋼やステンレス鋼との判断 ができる。また,鉄鋼やステンレス鋼と比べて密度が 小さいため,手に持ってみれば,その差は歴然である。 20 ステンレス鋼 SUS304に代表されるステンレス鋼は,強度が高い,熱に強い,さびないなどの優れた特徴がある。熱に強いという特徴を活かして,直火が当たる部品,例えば,模型スターリングエンジンのヒータ,などに利用できる。また,さびないという特徴から水中で使用する機械部品などにも利用できる。さらに,比較的細い丸棒が市販されているため,シャフト,軸,に使うことも多い。なお,ステンレス鋼は,粘っこいので他の金属材料と比べて切削加工をしづらく,刃ものの寿命が著しく短くなる。 ステンレス鋼の密度は,鉄鋼材料とそれほど変わらない。外観上は,光沢のある銀色を図2 ステンレス鋼,SUS304, している。 鉄鋼 S45CやSS400に代表される鉄鋼は,安価であること,溶接性に優れていること,様々な熱処理ができることなどの特徴がある。多くの工作機械や工具は鉄鋼材料を加工するために作られているので,機械加工において問題になることは極めて尐ない。なお,筆者は単品の実験装置だけを製作しており,製作コストを考えないため,鉄鋼材料をほとんど使わない,ただし,溶接を必要とする場合を除く,。 一般に鉄鋼は表面がさびて黒くなっていることが多い,黒皮,。黒皮は硬いため,切削 する際には,黒皮の部分を一気に削るとよい。図 3 鉄鋼,S45C, 黄銅 黄銅,真鍮,は銅と亜鉛を主成分とした合金である。黄銅は鉄鋼やステンレス鋼と比べて切削性がよく,ハンダや銀ロウとの相性がよいという特徴がある。適度な重量あることから,重量が必要な部品,例えば,模型エンジンのフライホイールやバランサなど,に利用できる。また,黄銅独特の美しい金色をうまく利用すれば,見栄えのする,高級感のある,機械ができる。しかし,時間がたつと表面が酸化して黒ずんでしまうため,加工した後にクリアラッカーなどで塗装しておくとよい。なお,鉄鋼と比べてかなり高価であるため,一般の機械製品に使われることは尐ない ようである。 図4 黄銅,C2800, 21 丸棒材料を切り出す際の注意 通常,丸棒材料は,最小2 mの単位で売られており, それを適当な長さに切り出して使用する。切り出して しまうと材質がわからなくなることがあるので,切り 出す際には右写真に示すような材質表示を残すよう に,片側だけから切り出すようにしたい。 図5 材質の表示 材料の形状 機械部品として使われる材料は,ほとんど「丸棒」が「板材」である。それらをうまく組み合わせて,部品や機械を製作していく。また,アングル材,山型鋼,やチャンネル材,パイプなどをうまく利用すると機械加工が容易になる。 図6 材料の形状 丸棒寸法の取り方 機械材料として丸棒を使うことは多い。市販されている丸棒は直径30 mm,40 mm,50 mm,60 mm,80 mmなど,「キリ」のよい寸法である。部品の寸法は設計時に決められるのが普通であるが,最大直径が50 mmの部品よりも最大直径が48 mmの部品の方がはるかに加工が楽である。最大直径が50 mmの部品は直径60 mmの材料から削り出さなければならないのに対して,最大直径が48 mmの部品は直径50 mmの材料から削り出せばよいためである。なお,直径10 mm以下のステンレス鋼などでは,表面がきれいに仕上がっているため,そのままの表面を利用できることが多い。 第2章 材料の切り出し 旋盤やフライス盤で機械部品の形状を仕上げる前に,材料を切り出す必要がある。以下,代表的な材料の切り出し方法を紹介する。 帯のこ盤:板材を切り出すのには「帯のこ盤」を使う。 板材を切り出す 板材を切り出すのには「帯のこ盤」を使う。図1に示す帯のこ盤は,幅8 mm程度の帯状の刃が一方向,上から下,に回っている。材料をその刃に押し付けて切断する。 22 図1 帯のこ盤 帯のこ盤を使用する際の注意事項 ?削りしろ,3,5 mm程度,を考えてけがく。一般に帯のこ盤で切り出した材料はフライス盤などを使って仕上げていく。刃幅以上の削りしろを考えて材料を切り出す。 ?必要以上に刃を長くしない。刃の切断部分の高さを調整できるが,刃を長く出しすぎると材料が曲がりやすく,刃がゆがみやすい。 ?材料が熱くなっても軍手を使用しない。軍手はギザギザの刃に巻き込まれやすいので,使用禁止である。 ?切り出す材料を両手でしっかりと押さえる。 ?若干の曲線を切ることもできるが,無理には曲げない。 ?丸棒や不安定な形状の材料を切らない。材料が動いてしまい,危険である ?当然であるが,刃の進行方向に指を置かない。特に切り終わりのときには注意する。 板材を切り出す手順 帯のこ盤を使うのはそれほど難しくない。材料をけがいて,帯のこ盤を動かして切るだけである,図2,図5,。 図3 けがきを終えた板材 図2 けがき 削りしろを考えて,隣り合う部品は3 mmの間隔を けがき針や定規を使って,切断する箇所をけがく。あけている。 それほど正確でなくてもよいが,材料の無駄使いが ないように配置する。 23 図4 切り出し 図5 切り出した材料 両手でしっかりと押さえながら,2本のけがき線 帯のこで切り出した材料は,このようにギザギザの真中を切断する。 である。 弓のこ盤:丸棒を切り出すのには「弓のこ盤」を使う。 丸棒を切り出す 丸棒を切り出すのには「弓のこ盤」を使う。図1に 示す弓のこ盤は,弓状の「のこ刃」が自動的に往復運 動する。材料を固定し,その上に「のこ刃」を乗せれ ば,自動的に丸棒を切断できる。 弓のこ盤を使用する際の注意事項 ?直径10 mm以下の材料は切らない。細い丸棒にの こ刃を当てると丸棒自体が曲がってしまい,刃を折 ることがある。 ?のこ刃を材料にゆっくりと当てる。あらゆる工作 機械の基本である。 図1 帯のこ盤 ?材料をしっかりと固定する。材料が動くと刃が折 れる。 丸棒を切り出す手順 弓のこ盤を使うのは全く難しくない。適当な長さに材料を固定して,弓のこ盤を動かして,ゆっくりと材料の上に「のこ刃」を乗せるだけである。材料の切り出しが終われば弓のこ盤は自動的に止まるので,そのまま放置しておけばよい,図2,図4,。 図3 切り出し スイッチを入れて,のこ刃を降ろせばあとは自図2 材料の固定 動的に切り出される。 適当な長さに材料を固定する。 24 図4 切り出した材料 図5 大きい丸棒の切り出し 弓のこ盤で切り出した材料は,このようにギザギ 時間はかかるが,直径150 mm程度の丸棒も切ザである。普通は,この後,旋盤で仕上げていく。 断することができる。 手のこ:小さい材料や直径10 mm以下の細い材料を切り出す。 細い材料を切り出す 直径10 mm以下の丸棒を切る場合,弓のこ 盤を使うことはできない。材料が曲がってし まい,弓のこ盤の刃を破損するためである。 そのような細い材料や小さい材料は「手のこ」 で切断する。 図1 手のこ 手のこの使い方 手のこは,押して切るように刃を取り付けるのが 普通である。手のこで材料を切断する際には,押す ときに力を入れて,引くとき,刃を戻すとき,には 力を抜く。 図2は直径10 mmのアルミニウム合金棒を手のこ で切り出している様子である。このように,材料を 万力に固定すると切り出しやすい。 図2 手のこによる材料の切り出し 足踏み切断機:薄板を手っ取り早く切断する。 薄板をまっすぐに切る 厚さ2 mm以下のアルミニウム合金板や厚さ1 mm以下の鉄板,それよりも薄いステンレス鋼板などを切り出すには,図1に示す足踏み切断機が手っ取り早い。図2,図4に示すように,けがいた材料を刃の位置に合わせて,ペダルを勢いよく踏み込むだけできれいに切断ができる。ただし,直線だけしか切ることはできない。 図2 材料を合わせる 図1 足踏み切断機 25 足踏み切断機は薄板を切断するのに使用する。 けがいた材料を刃の位置に合わせる。 図3 強くペダルを踏む 図4 切断した材料 かなり強い力でペダルを踏み込む。 切断面はかなりきれいに仕上がるが,バリはしっ かりととらなければならない。 高速切断機:アングル材やパイプを短時間で切断する。 アングル材やパイプを簡単に切断 高速切断機,図1,は,高速で回転する厚さ5 mm程度の砥石を材料に押し当てて切断する。鉄鋼製のアングル材やパイプなど,比較的肉厚が薄い材料を非常に短時間で切断することができる。使用方法としては,材料をバイスにしっかりと固定し,砥石を押し当てるだけでありとても簡単であるが,切断中に火花が出るので注意する,図2,。 図1 高速切断機 図2 アングル材の切断 ガス切断:アセチレンガスを使った切断。 厚い鉄板を簡単に切断 ガス切断,ガス溶断,は,アセチレンガスと酸素の燃焼熱によって溶かした材料に,酸素で吹き飛ばして切断していく。基本的には鉄鋼材料のみを切断でき,かなりの厚さの材料でも切断できる,ただし,使用者の技量や使用するトーチによる。筆者は厚さ30 mm程度の鉄板まで,。しかし,切断面をまっすぐに切るのは難しく,表面に焼き入れ,熱処理,が施されてしまうため,小さな機械部品の材料切り出しにはあまり適していない。なお,アセチレンガスを使用するためには資格が必要である。 26 図1 ガス切断用トーチ 図2 ガス切断用トーチの火口 ガス切断の実際 図3は,小型の水槽内に設置されていた古い実験装置をガス切断で解体している様子である。厚さ20 mm 程度のチャンネル材を簡単に切断することができる。 (2) ガス切断の様子 (1) 解体する実験装 置 (4) 切断した実験装置 (3) ガス切断の様子 図3 ガス切断 その他の切断用工具:金きりハサミ,ペンチ,ニッパ,カッター???。 あると便利な切断用工具 以下,機械加工と関係なさそうなものもあるが,いくつかの切断用工具を紹介する。 図2 ペンチ 図1 金切りハサミ 言うまでもなく,薄い金属板を切断する。 細い金属棒やボルトを切断できる。 27 図4 カッター 図3 ニッパ ゴムや紙を切断する。その他にもいろいろと使うので,細い電線,銅線,を切断する。一般に刃が弱いので,大小2つ程度はそろえておくとよい。 電線以外の切断にはペンチを使用する。 図5 円カッター 図6 木工用のこぎり 円を切り抜くことができるカッター。パッキンを製作 する場合などに便利である。 見慣れた工具であるが,機械加工には関係ない,,,。 第3章 旋盤を使った加工 旋盤は,機械加工で最もよく使われる工作機械の一つである。円柱形状の部品を製作する際に使う。 旋盤の基本操作:旋盤を使って加工する。 旋盤を使う 旋盤とは,円柱状の材料を回して,それにバイトと 呼ばれる刃ものを当てて,材料を削る工作機械であり, 機械加工で最もよく使われる工作機械の一つである ,図1,。 図2に示すように,材料を旋盤のチャックにしっか りと固定する。旋盤のスイッチを入れて,旋盤のチャ ックを回転させる。そして,バイトを固定したテーブ ルは,図3に示す数個のハンドルを操作することで前 後方向,左右方向に動かすことができるので,その操 作によってバイトの先端を材料に当てて削っていく。 図1 旋盤の外観 図2 材料の固定 図3 旋盤のハンドル 28 これだけは気をつける 旋盤を使用する際,以下のことは十分に気をつけなければいけない。 ?チャックハンドルをチャックにつけたままにしない。次に旋盤を回した瞬間,チャックハンドルが飛んでくる。 ?バイトやバイトを固定しているテーブルをチャックにぶつけない。バイトばかりでなく,テーブルや旋盤が破損する。できる限り,バイトをチャックに近づけないようにする。 3つの重要な要素 旋盤加工において部品をきれいに,しかも能率よく仕上げるためには,回転速度,切り込み量,送りの3つを適切に調整することが重要である。しかし,これら3要素の設定値は,材料の寸法や形状,材質,使用しているバイトなどによって異なるため,実際に削ってみないとわからないのが実情である。 回転速度 旋盤のチャックの回転数(rpm)で表す。回転数 が高いほど,加工速度が速くなり,一般に加工 面がきれいに仕上がる。しかし,尐しの操作ミ スが重大な事故につながる可能性があるので, 最初は遅い回転数で加工するとよい。 切り込み量 削る際のバイトの切り込み深さである,図4 参照,。切り込み量が大きいほど,加工速度が 速くなるが,材料表面の温度が上がりやすく加 工面は荒くなりがちである。また,バイトの寿 命も短くなる。どの程度の切り込み量が適当で図4 3つの重要な要素 あるのか分からない場合は,切り子魅了を小さ 旋盤加工に慣れていない場合や適当な条件がわからないくするとよい。 場合は,遅い回転速度で,小さい切り込み量で,遅い送り送り で加工するのが基本である。 図4に示すようにバイトを進めていく速度を 「送り」という。送りが速いほど,加工速度が 速くなるが,加工面は荒くなる。送りが遅いと きれいな加工面に仕上がる。「送り」には,ハ ンドルを回して操作する「手動送り」と,レバ ーの操作で自動的にバイトを進める「自動送り」 とがある。旋盤の操作に慣れるまでは,手動送 りとするとよい。自動送りの場合,バイトを回 転しているチャックにぶつけるなど,重大な事 故を引き起こす可能性があるからである。 バイトの形状と旋盤加工 旋盤は「バイト」という刃物で材料を削る。バイトには様々な種類?形式があり,部品の形状によって使い分ける。以下,最も代表的なバイト3種類を紹介し,旋盤で加工しやすい形状,しにくい形状について考えてみる。 バイトの形状 29 図5(a)は旋盤加工で最もよく使われる右片 刃バイトであり,円柱材料の外面,曲面,と 端面,平面,を削ることができる。ただし, 普通の旋盤は材料の左側をチャックで固定す るので,右片刃バイトでは材料の右側の端面 しか加工できない。 図5(b)の突切りバイトは,材料を切り落と したり,円周方向の溝を削るのに使う。先端 部分が細く,壊れやすいので,このバイトを 横方向に送ることは基本的にできない。 図5(c)の中ぐりバイトは,円筒形状の内面図5 バイトの形状 を削るのに使用する。例えば,ドリルでは加 工できないような大きい穴,あるいは精度が 必要できれいな加工面が必要な穴の加工など である。 加工しやすい形状としにくい形状 右片刃バイトが最も扱いやす いので,右片刃バイトだけで加工 できる形状は,最も加工しやすい 形状であると言える。突切りバイ トを使用する場合,溝の幅が細 く,溝が深くなるほど加工しにく くなる。また,中ぐりバイトを使 う場合,バイトの高さが合ってさ えいれば,貫通する穴を加工する のはそれほど難しくない。しか し,底がある内面の中ぐり加工 は,加工中に内部を見ることがで きず,底の位置を目盛や音で判断 しないといけないため,やや難し くなる。さらに,内面の直径が小 さい場合,10 mm以下,や穴が深 い場合の中ぐり加工は著しく難 しくなる。 図6 加工しやすい形状としにくい形状 もちろん,図6(c)に示すよう な物理的に加工できない形状も ある。そのような場合は,部品を 分割するなどの工夫が必要であ る。 音を聞く 旋盤で材料を削る場合,切り屑や加工面を見ると切れ味がわかる。その他にも,加工の際の音を聞くことも 重要である。例えば,「キーン」という,かん高い音がする場合,たいていの場合,適切な加工が行われてい ない。切れない刃を使っているか,回転速度が速すぎるか,あるいは薄肉で材料が振動しているなどの原因が 考えられる。 バイトを固定する 30 バイトをテーブルに固定する際,バイト 先端の高さが材料の中心に合うように,バ イトとテーブルの間に薄い金属板を入れて 調整する。例えば,右片刃バイトを使用す る場合,バイト先端が材料の中心より高い と刃先が材料に当たらなくなり,削れなく なる。逆にバイト先端が低いと端面の中心図7 バイトの高さ が削れなくなり,「へそ」ができてしまう。 また,一般に切り込み量はハンドルの目盛 を見ながら削っていくが,高さが合ってい ないと目盛の誤差が大きくなり,正確な加 工ができなくなる。 どちらかと言えば??? バイトの高さをいくら念入りに調整したとしても完全に材料の中心に合わせることはできない。そのため, ほんの尐しだけ刃先が材料に当たる方向に調整するとよい。右片刃バイトや突切りバイトの場合はやや低く, 中ぐりバイトの場合はやや高くする。 右片刃バイトを使う:旋盤加工の基本は右片刃バイト。 旋盤加工の基本は右片刃バイト 旋盤加工で最もよく使うバイトが,図1に示す右片刃バイトである。向かって左側にだけ刃先があり,材料の外面や端面を削るのに使う。 図1 右片刃バイトの外観 バイトが傾くと??? バイトをテーブルに固定する際,バイ トの高さを入念に調整しなければならな いことは旋盤操作の基本である。また, 先端にチップを取り付ける形式の右片刃 バイトは,刃の側面が平行に近い形式が ある。そのようなバイトを傾けて固定し てしまうと,材料に刃先が当たらなくな るので注意する。 図2 バイトの傾き 外面加工と端面加工 外面加工とは,図3(a)に示すように円 柱の曲面を削る加工であり,バイトを左側 へ送って削っていく。端面加工とは,図 3(b)に示すように円柱の平面,右側の端 面,を削る加工であり,バイトを上側へ送 って削っていく。これらは旋盤加工の基本 である。 図3 外面加工と端面加工 31 図4 外面加工 図5 端面加工 旋盤による穴あけ加工?中ぐり加工:ドリルや中ぐりバイトを使って穴をあける。 旋盤を使って穴をあける 旋盤を使えば,材料の中心に正確な穴をあけることができる。穴の直径が小さければドリルを使うことができる。穴の径が大きい場合や加工面,内面,をきれいに仕上げる必要がある場合は中ぐりバイトを使う。 ドリルを使う ドリルチャックにドリルを取り付け,回転している材料にドリルを押しつける。操作はそれほど難しくないが,細いドリルは無理な力がかかると簡単に折れてしまう。ボール盤やフライス盤によるドリル加工と同様,ドリルの溝に切り屑が溜まらないように,切削油を塗り,こまめに切り屑を排出する。 材料の中心に「へそ」などがあるとドリルが曲がってしまう。ドリルを使う前に,センタードリルと呼ばれる剛性があるドリルで中心に印をつけるのが普通である。 図1 ドリル加工 図2 製作した部品 中ぐりバイトを使う 中ぐりバイトは,内面を削るのに使用する。例えば,ドリルでは加工できないような大きい穴,あるいは精度が必要できれいな加工面が必要な穴の加工などである。 32 図3 中ぐりバイト 図4 中ぐりバイトの取り付け なぜ中ぐり加工は難しいのか 中ぐり加工は難しいと言われる。以下,その理由をあげてみる。 (1) 加工面が見づらい。 (2) 内部に切り屑が溜まりやすい。切り屑が溜まるときれいな加工面に仕上がらない。 (3) 深い場所が見えないので,底の位置でバイトを止めるのが難しい。ハンドルの目盛と音が頼りである。 (4) 刃先の高さをうまく調整しないと,刃先以外の場所,バイトの下部が多い,が材料に当たる。 (5) バイトを長く出すので,バイトがびびりやすい。これはバイトの太さ,剛性,に関係する。 中ぐり加工の実際 魚ロボットUPF-2001のパワーユニットケースを製作した例を紹介する。外径118 mm,長さ191 mmのアルミニウム合金製,A2017,の円柱に,内径103 mm,深さ186 mmの穴をあけた。内面はOリングで水密とするため,きれいな加工面に仕上げなければならない。 (1) ドリルで下穴をあける。できるだけ大きい穴がよ(2) 中ぐりバイトで穴を拡げていく。 い。 33 (3) バイトが材料の底にぶつからないように注意しな(4) 中に切り屑が詰まると加工面が見えなくなるだけがら,ひたすら穴を大きくする。 でなく,加工面がきれいに仕上がらなくなる。 (5) 穴が大きくなり,肉厚が薄くなると削りにくくな(6) 中ぐり加工が終了した。きれいな内面に仕上がっる。 ている。 図5 中ぐり加工の実際 薄肉の円筒を中ぐり加工する 薄肉の円筒を中ぐり加工する場合,材料が振動してしまい,きれいな加工面に仕上げるのが難しい。なるべく旋盤の回転速度を低くするのが基本であるが,それでも振動が収まらないときは材料の周囲に荷造り用ゴムベルトを巻くとよい。図6は,実験用魚ロボットPF-600の胴体を中ぐり加工している様子である。アルミニウム合金製,A2017,の胴体は,外径148 mm,内径138 mmの薄肉円筒形をしている。 図6 薄肉円筒の旋盤加工 突切りバイトを使った溝加工:突切りバイトを使って,フィンやOリング溝を作る。 突切りバイトを使う 34 突切りバイトは,材料を切り落としたり,フィンやOリング溝を削るのに使う。バイトを材料に垂直に当てて,まっすぐ上の方向へと送っていく。先端部分が細く,壊れやすいので,横方向の送りは原則として禁止である。また,通常の旋盤加工と比べて,送りと切り込みをかなり小さくし,切削油をこまめに塗ると削りやすくなる。 図1 突切りバイトの外観 突切りバイトの固定 突切りバイトの側面は,わずかに根本の方が細くなっているが,かなり平行に近い。バイトを傾けて固定するとバイトの側面が材料に当たってしまう。尐しでも切れ味が悪いと感じたら,バイトの角度を入念に見直すとよい。 また,バイト先端の高さを材料の中心に合わせるのは基本であるが,突切りバイトの場合,その高さがわずかでも高いと,刃先が材料に当たらず削れなくなる。無理に削ろうとするとバイトを破損することもある。右片刃バイトと同様,わずかに低めに固定するのがコツである。 図2 突切りバイトの固定 Oリング溝 Oリングとは,断面が円形,O形,をしたパッキン,シール,であり,液体や気体のシールとして使われている。安価で多様な寸法がそろっているので,様々な機械によく使われている。Oリングは一般に溝に装着され,その主な装着方法として図3に示す3種類がある。図3(a)のように,材料の外面に装着する場合,突切りバイトを使うことで比較的簡単に溝を作ることができる。図4は魚ロボット PF-600の胴体部分のシールとしてOリングを使用した例である。また,図5は模型車いす図3 Oリングの装着方法 のタイヤにOリングを利用した例である,もちろんシール性は必要ない,。 35 図4 魚ロボットPF-600のOリング溝 図5 模型車いすのOリング製タイヤ 補足:端面や内面にOリング溝を削る 図3(b)のように,端面にOリング溝を作る場合,突 切りバイトに似た形状のバイトを使用する。刃先を側 面に当てて,ゆっくりと横方向,左,に送っていく。O リング溝の直径が小さい場合,刃先以外が部品に当た らないようにバイトの側面を直径に合わせて削ってお く必要がある。溝の寸法を高い精度で削るのが難しい ので,できるだけ図3(a)のように外面にOリングを装 着するのが望ましい。 図6 端面のOリング溝 図3(c)のように,内面にOリング溝を作る場合,図 7に示すような特殊なバイトを使用する。この装着方法 は,加工が著しく難しくなるので,できる限り採用し ない方がよいであろう。,筆者は内面に溝を掘る加工 をしたことがない。, 図7 内面の溝を削るためのバイト スターリングエンジンのフィン スターリングエンジンなどの熱機関では,冷却した い箇所,部品,に空冷フィンをつけることがある。伝 熱面積を増やすことで熱の伝わりをよくするためであ る。図8に示すような円周上のフィンは突切りバイト を使って加工できる。ただし,フィン溝が深くなるほ ど,またフィン溝の幅が薄くなるほど加工は難しくな る。 図8 スターリングエンジンのフィン 旋盤を使ったねじ切り加工:どうしてもタップやダイスがないときは旋盤でねじを切る。 ねじ切りバイトでねじを切る 36 ねじ切り加工は,一般にタップやダイスを使う。し かし,特殊なねじを切る場合,適当なタップやダイス がない場合,あるいは大きい径のねじを切る場合など, やむを得ない場合は旋盤でねじを切ることができる。 旋盤で雄ねじを切る場合,図1に示す「ねじ切りバ イト」を使用する。このバイトには,先端が60度の角 度に仕上げられたチップが取り付けられている。この バイトを使って,全く同じ位置を全く同じピッチ,1 回転当たりに進む距離,で,何度かに分けて切り込み を深めて削っていくとねじが完成する。 旋盤のねじ切りは,難しい作業であり,操作方法を図1 ねじ切りバイト,雄ねじ用, 間違えると材料だけでなくバイトや旋盤を破損させる 恐れがある。ねじをうまく作るためには経験を積むこ とが重要だろうが,最初はむやみに使わない方がよい。 旋盤でねじを切るときの注意事項 (1) ねじ切りは普通の自動送りとは違って,全く同じ位置で送りを繰り返さなければならない。図2は送りの位置を決めるためのダイヤルであり,一般にこの目盛を合わせることで「同じ位置」の送りができる。旋盤によって操作方法が異なるので,取扱説明書を読んで操作方法を確認する。 図2 ねじ切りのためのダイヤル (2) ねじのピッチを合わせる。旋盤によって,レバーで設定するものや,歯車を変更するものなどがある。 (3) ねじ切りの送りを途中で止める必要がある。そのための「逃げの溝」を作っておく,図6参照,。また,できるだけ遅い回転速度,,遅い送り,で加工すると止めやすい。 ビデオカメラを固定する雄ねじを作る 旋盤でビデオカメラ固定用のねじ,図3, を製作した例を紹介する。このねじは,外 径が6 mm程度,ピッチが1.25 mm程度であ *る。M6のメートルねじのピッチは1 mm,細 目で0.75 mm,であり,ダイスが手元になか った。そのため,旋盤でねじを切ることと した。 * 後から調べてわかったことであるが,カ メラ固定用のねじは,1/4-20UNCのユニファ イねじ,おねじ外径6.35 mm,ピッチ1.27 mm, である。そのダイスを手に入れれば簡単に ねじ切りができる。 図3 部品図 37 図4 外形を仕上げる 図5 逃げを作る 左片刃バイトを使って,外形を仕上げる。ねじ部 突切りバイトで十分な逃げを作る。このねじは,の外径6 mmはマイナス公差である。ここでは,-0.2 山の径が6 mm,ねじの角度が60度なので,谷の径mm程度,外径5.8 mm,に仕上げた。 が3.8 mm程度である。したがって,「逃げ」の部分 は,切り込み1.1 mm以上の深さが必要であるため, 1.5 mmとした。横の幅は3 mmとした。 図6 「逃げの溝」をつけた材料 図7 ねじ切り 安全のため,かなり幅の広い逃げを作った。 ねじ切り加工を行っている。逃げの溝の範囲内で 送りを止めなければいけないので,操作中はかなり 緊張する。 図8 完成部品 図9 ビデオカメラの固定 きれいな仕上がりではないが,とりあえず完成し 何とか使える状態に仕上がった。 た。 38 図10 ビデオカメラの設置 図11 実験の連続写真 ビデオカメラをクレーンに取り付け,上方約5 m 上方約5 mの位置からビデオカメラで模型車いす の位置から撮影できるようになった。 の軌跡を調べた例である。 四爪チャックを使う:偏心させた位置に穴をあける。 三爪チャックと四爪チャック 旋盤のチャックは,円周上に配置さ れた「爪」を狭めていくことで,材料 を固定する。通常の旋盤加工では三爪 チャックを使う。一般の旋盤加工では, 材料の芯,中心,を出して円柱状に削 ることが多いので,3つの爪で材料を 固定するのが便利なためである。一方, 材料を偏心させて削ったり,あるいは 偏心させた位置に穴をあける場合,四 爪チャックを使用する方法がある。こ れは4つの爪の長さを調整すること図1 三爪チャックと四爪チャック で,材料を任意の位置に固定できる。 ただし,四爪チャックによる材料の固 定は,位置調整がかなり難しい。また, チャックの付け替えにも時間がかかる ので能率が悪い。やむを得ない場合を 除いて,むやみに使用しない方がよい。 偏心させた位置に穴をあける 39 例えば,図2に示す魚ロボット PF-600の胴体では,端面の偏心させた 位置に2つの正確な穴,直径43 mm, をあける必要があった。この穴はOリ ングで水密構造とするため,加工面を きれいに仕上げなければならないの で,穴をドリルで仕上げるわけにはい かない。このような場合,四爪チャッ クを使用した旋盤加工,中ぐり加工, が必要となる。 図2 部品図,魚ロボットPF-600の胴体, 図3 四爪チャックによる固定 四爪チャックに付け替え,偏心させた位置 に穴をあける。 図4 中ぐり加工 中ぐりバイトを使用して,きれいな加工面に仕上げてい る。 図6 完成間近の部品 部品を固定するねじ穴などもあり,かなり 複雑な部品である。 図5 1つの穴を仕上げた状態 40 一方の穴が仕上がり,もう一方の穴の位置にチャックの長さを調整した。 図8 魚ロボットPF-600 魚ロボットPF-600は,水漏れもなく,順 調に泳ぐ。 図7 組み立てた状態 胴体を完成させて,その他の部品を組み立てた状態である。 ジグを使った旋盤加工:チャックがしにくい部品を製作する場合はジグを使って加工する。 ジグの必要性 ジグとは「加工を補助するための道 具」であり,機械加工には欠かすこと ができないものである。部品の形状が 複雑な場合や通常の旋盤加工では製作 が難しい場合など,製作者自身がジグ を作るのが普通である。図1に示すよ うに,旋盤加工においては,薄い板材 を丸く削る場合,チャックがしにくい図1 こんなときにジグが便利 部品を製作する場合,同じ形状の多く の部品を製作する場合などに使用する とよい。 以下,いくつかのジグを使った加工 例を紹介する。 薄い板材を加工する 厚さ2 mmのアルミニウム合金板,A2017,を直径28 mmに仕上げたい。中央には直径6 mmの穴があいている。そのような場合,通常の旋盤加工では材料をチャックすることができない。そこで,図2に示すような簡単なジグを使用した。 41 (1) ジグ 外径を6 mm,長さ3.5 mm,として,先端にM4の 雄ねじを切った。 (2) 板材の準備 (3) 旋盤への固定 厚さ2 mmのアルミニウム板に穴をあけ,外形を足 板材をジグに固定し,ジグを旋盤にチャックして踏み切断機で切断した。 いる。 (4) 外面削り (5) 完成した板材 尐しづつ外面を削っていく。切り込みが大きいと ジグを使えば,簡単に所定の寸法に仕上げること板材が滑ってしまう。 ができる。 図2 ジグを使った薄板の加工 板材の中ぐり加工 板材に軸受を取り付けるため,直径19 mmの穴,プラス公差,を正確に仕上げたい。そのような場合,通常の三爪チャックでは材料を固定できない。また,ドリルを使うこともできるが,正確な穴径には仕上がらない。そのような場合,図3(a)に示すような,円柱に4つのM3雌ねじを切っただけの簡単なジグを使用するとよい。板材にねじを入れる穴をあけておき,ジグに固定する。そしてジグを旋盤に固定して,中ぐり加工をすればよい。 42 (a) ジグ (b) 完成した部品 図3 板材の中ぐり加工 高い精度が必要な部品の加工:旋盤加工で問題となる加工精度と加工方法について考える。 旋盤加工における加工精度 一言で加工精度と言っても,長さや平行度,平面度,真円度,同軸度などいろいろな精度がある。以下,旋盤加工において,頻繁に問題となる加工精度と加工方法について考えてみる。 滑らかな加工面に仕上げる 旋盤加工において,加工面を滑らかに仕 上げる必要があることがある。そのような 場合,回転数をやや高めにし,送りをでき るだけ遅くするのが旋盤加工の原則であ る。回転数に対する送りが速いと,ねじ切 り加工のように,バイト先端の傷が材料に 残ってしまうからである。 図1 送り速度と表面仕上げ かみ直しと芯出し 部品の中心に軸を通したり,軸受を取り付けたりす る際,できる限り部品の中心にまっすぐな穴をあけた い。そのような場合,材料のかみ直し,チャックから 材料を一度はずして,再度取り付けること,をしない で,精度が必要な面を一度に仕上げなければならない。 かみ直しをすると芯がずれてしまうからである,図2,。 チャック部の長さが短く,部品の外径が大きいほど芯 のずれが大きくなりやすい。高い精度で芯を出す場合 には,かみ直しをしない加工手順とするか,ジグを使 うなどの工夫が必要がある。 図2 かみ直しと芯のずれ 細長い形状の加工 円柱部品の先端を細長く削りたいことがある。そのような場合,材料の端部にセンタードリルで穴をあけ,芯押し台で材料を押しつけるとよい,図3,。しかし,先端の直径が小さい場合,バイトと芯押し台とが干渉し,芯押し台を使うことができなくなる。そして,端部を押さえずに加工すると,材料の剛性不足によって先端が逃げてしまい,先端部が削れない。そして,先端部が太いテーパ形状となってしまう,図4,。このテーパをなくすためには,できるだけ切り込みを小さくして,同じ目盛で何度も削るとよい。また,入念な軸方向の寸法測定も重要である。 43 図3 芯押し台の使用 図4 細長い形状の加工 正確な直径に仕上げる 1/100,5/100 mm程度の精度で部品の寸法を仕上げる場合,旋盤の目盛はほとんど参考にならない。目盛を見ながら+0.1 mm程度の範囲に入ったら,同じ目盛で何度か削り,表面の傷をなくす。そして,かすかな音を聞いたり,ごくわずかな切り屑を見ながら削っていくとよい。焦りは禁物である。 第4章 フライス盤を使った加工 フライス盤を使うと,複雑な形状の部品を作ることができる。大きく分けて,平面を作る場合と穴をあける場合に使う。 フライス盤の基本操作:フライス盤の基本構造を紹介する。 フライス盤を使う フライス盤には回転軸が鉛直方向にある縦フライス盤と回転軸が水平方向にある横フライス盤とがある。一般に,横フライス盤は,加工速度が速いという特徴がある。しかし,工具の付け替えがやや面倒であり,製作できる部品の形状に限りがある。以下,汎用性に優れた縦フライス盤,図1,について説明する。 フライス盤とは,回転している工具に,バイス,万力,に固定した材料を当てて加工する工作機械である。工具には,ドリルやエンドミルと呼ばれる刃ものを使う。また,固定した材料は,図2に示すハンドルを操作することで,横方向,x軸,,前後方向,y軸,及び高さ方向,z軸,の3方向に正確に移動できる。 図1 フライス盤の外観 図2 操作ハンドル フライス盤の付属品 フライス盤を用いた加工では,工具,刃物,以外にいくつかの付属品が使われる。その主なものを紹介する。 バイス,万力, 削る材料を固定するのがバイス,万力,である。バ イスはフライス盤のテーブルにしっかりと固定されて いる。加工する部品が大きい場合など,バイスをテー ブルから取り外すこともできる。しかし,一度取り外 したバイスを取り付ける際,バイスの固定面がx軸に 平行になるように入念に調整する必要がある。やむを 得ない場合を除いて,バイスをテーブルからはずさな い方がよい。 図3 バイス,万力, 44 デジタルスケール フライス盤のテーブルはx軸,y軸及びz軸に正確に 位置決めすることができる。操作ハンドル付近の目盛 を読みながら操作することも可能である。しかし,図4 に示すようなデジタルスケールが取り付けられている 場合,その数値を見ながら操作すると能率がよい。図4 のデジタルスケールは,最小単位が5/1000 mmであり, x軸及びy軸の2軸の値を表示できる。 図4 デジタルスケール ポイントマスタ 正確な位置決めをするためには,正確に基準の位置 ,x=0,y=0の点なので「0点」という,を見つける必 要がある。その0点調整をするために,図5に示すポ イントマスタを使うと便利である。ポイントマスタは, その先端が金属部品やバイスに接触するとLED,発光ダ イオード,が点灯する構造となっている。その使用手 順としては,ポイントマスタをフライス盤のチャック 部に取り付ける。そして,操作ハンドルを動かし,ポ イントマスタの先端部分がバイスや部品に当たる位置 を見つける。 図5 ポイントマスタ フライス盤を使って製作した部品 フライス盤を使うことで,様々な形状の部品を作ることができる。その制作手順については別のページで紹 介することとし,最終的に完成したいくつかの部品を紹介する。 図7 魚ロボットの背骨 フライス盤を使って製作したいくつかの 部品が組み合わされている。ほとんどの部品図6 魚ロボットの部品 は直方体に近い簡単な形状である。 魚ロボットUPF-2001のパワーユニットに使っている部品 である。エンドミルを使って複雑な形状に仕上げている。 45 (a) 製作したコンロッド (b) スターリングエンジンの駆動機構 図8 スターリングエンジンのコンロッド 50W級スターリングエンジンMini-Ecoboyのコンロッドである。部品の厚みがかなり薄いので,固定が難しく,製作しづらい。しかも,かなりの精度で作る必要がある部品なので,細心の注意を払って製作した。 ドリルを使う:フライス盤で正確な穴あけ加工を行う。 フライス盤で正確な穴あけ加工を行う フライス盤は正確な位置決めをできるので,正確な位置に穴あけ加工をすることができる。簡単な穴あけ加工であれば,けがいてボール盤を使って加工する方が能率がよい。しかし,穴の位置に正確さが要求される場合や穴の数が多い場合など,フライス盤の方が適していることがある。また,大きい直径のテーパードリルを使うことができるのもフライス盤によるドリル加工の特徴である。 図1 テーパードリル 図2 フライス盤による穴あけ加工 フライス盤でドリルを使うとき フライス盤で穴あけ加工を行うのは,一般に正確な位置に穴をあけたいときである。そのためには,位置決め,0点調整,を正確に行うことはもちろん,ドリルで穴をあける前にセンタードリルを使うとよい。 46 図3 ポイントマスターを使った位置決め 図4 センタードリル エンドミルを使う:エンドミルはフライス加工に欠かすことができない工具。 エンドミルを使う エンドミルとは 図1に示すエンドミルは,フライス加工に欠かすことができない工具である。回転しているエンドミルを材料に当てて,左右方向,または前後方向,に材料を動かすことで平面を作るのが基本的な使い方である。エンドミルは,写真の下面と側面が「刃」になっている。これを使用することで様々な形状の部品を製作できる。 エンドミルの刃先はもろくて,欠けやすい。削り始 めの際には,エンドミルをできる限りゆっくりと材料に当てるように気をつけなければならない。 図1 エンドミル チップを取り付けるエンドミル 図2は先端にチップを取り付ける形式のエンドミルである。切れ味が悪くなったら,チップを取り替えることで,簡単にもとの切れ味に戻せるのが特徴である。水平方向の平面だけを削ることができ,「バジカルカッター」とも呼ばれる。 図2 チップを取り付けるエンドミル エンドミル加工における3つの重要な要素 エンドミル加工において部品をきれいに,しかも能率よく仕上げるためには,回転速度,切り込み量,送りの3つを適切に調整することが重要である。しかし,これら3要素の関係は,材質や形状,使用しているエンドミルの状態,仕上げる加工面に必要とされるの精度などによって大きく変わる。一般に,加工面をきれいに仕上げるためには,尐ない切り込み量でゆっくり とした送りで加工するとよい。 図3 3つの重要な要素 わからないときは??? フライス加工に慣れていない場合や適当な条件が 47 わからない場合は,尐ない切り込み量で,遅い送り で加工するのが基本である。 自動送り 一般のフライス盤には「自動送り」の機能がある。この機能は,大きい平面を削るときに便利であり,能率がよい加工ができる。しかし,フライス盤の操作に慣れていないと,逆方向に送ってしまうことがあり,とても危険である。自動送りの機能は,フライス盤に十分慣れてから使用するとよい。 エンドミル加工の手順 フライス盤を使えば様々な部品を製作することができる。以下,その一例として,アルミニウム製の部品の製作例を紹介する。 (2) 端面削り (1) 切り出した材料 帯のこ盤で材料を切り出した。最終的に仕上がる エンドミルの下面を使って平面を仕上げる。さら寸法より,3 mm程度大きく切り出している。 に板材を180?回転させてもう一面を削る。 (3) 端面削り (4) 部品の形状 エンドミルの側面を使って材料の横の面を仕上げ エンドミルをうまく使って,部品の形状を仕上げる。バイスが適切に固定されていれば簡単に直角がている。やや複雑な加工なので,バイスを傷つけな出せる。 いように気をつける。 48 (6) 完成 (5) 穴あけ加工 写真は完成した部品である。フライス盤に慣れて エンドミルをドリルに付け替えて,穴をあけていいれば,それほど難しい加工ではない。 る。 図4 エンドミル加工の手順 大きい材料の固定:クランプを使って材料を固定する。 クランプを使った材料の固定 フライス盤で材料を削る場合,一般に小さい部品はテ ーブルに固定されているバイス,万力,に挟んで固定 する。バイスに挟むことができないような大きい部品 は,図1に示すようなクランプを利用して固定する。 図2,図5はクランプで固定してフライス加工を行っ ている例である。 図1 市販のクランプ 図2 長い円柱材料の固定例 図3 長い円柱材料の穴あけ加工 図4 板材の固定例 図5 大きい板材の固定例 ジグを使ったフライス加工:ジグを使って任意の角度に仕上げる。 任意の角度のジグを使う 49 フライス盤や旋盤は,一般に90度,直角,の角度の 加工を行う。しかし,場合によっては,90度以外の角 度で材料を削る必要が生じることもある。 例えば,図1に示す魚ロボットの関節付け根の部品 では,10度の傾きをつける。このような部品を作る場 合,ジグと呼ばれる固定具を利用する。図2は,図1 の部品を製作する際に準備したジグであり,厚さ8 mm のアルミニウム合金を台形に削ったものである。ジグ の横幅を長くすれば,比較的精度が高い角度に設定で きる。 図1 魚ロボットの部品図 製作する部品の部品図。切り欠き部分を10度の角 度で削らなければならない。 図2 ジグ 図3 材料の配置 10度の角度を削るためのジグ。厚さ8 mmのアル 90度の切り込みを入れた部品を,この写真のようミニウム合金板を台形に削った。 に,ジグの上に配置する。 図5 完成した部品 図4 フライス加工 精度はわからないが,とりあえず部品は仕上がった。 フライス盤のテーブルに固定して,エンドミルで削る。 第5章 溶接とロウ付け 旋盤やフライス盤の加工は材料を削る加工であるのに対し,溶接やロウ付けは材料と材料を接合するための加工である。 溶接の種類と概要:いくつかの代表的な溶接法を紹介する。 溶接の種類 溶接とは,金属材料同士の接合部を高温の熱によって溶かして接合する加工である。溶接には,熱の与え方によって様々な種類がある。鉄鋼材料の溶接法として最もよく使われるのがアーク溶接である。比較的小さい,薄い,鉄鋼材料の溶接にはガス溶接が扱いやすい。ステンレス鋼やアルミニウム合金の溶接にはTIG溶接な 50 どが用いられる。 ロウ付けは,溶接に類する接合法であり,材料そのものを溶かすことなく,ロウ,ハンダや銀ロウ,だけを溶かし,ロウと金属材料とを接合させて,金属材料同士を接合する。ロウ付けは,溶接と比べて加工時の温度が低く,手軽な加工であるが,ロウと金属材料との相性などに問題が生じることがある。 図1 アーク溶接 図2 ガス溶接 図3 TIG溶接 図4 ロウ付け 溶接の難しさ 一般に,溶接は切削加工よりも難しい。金属材料に熱を与えることで変形してしまい,正確な寸法に仕上げることが難しくなる。また,溶接中に加工部分が見にくく,適切な溶接がなされているか判断できない。さらに,材料が十分な深さまで溶けているのかわからない。したがって,適切な溶接を行うためには,その手順,溶接箇所の順番,や機器の設定など,十分な経験が必要なようである。 アーク溶接:鉄系材料に最もよく使われる溶接。 アーク溶接の概要 アーク溶接は,金属材料,母材,と溶接棒との間に アークを発生させる溶接法であり,鉄系材料の溶接に 最もよく利用されている溶接法である。図1のような 溶接棒を取り付けた保持器,手溶接トーチ,を使用し, 母材と溶接棒の両方を溶かしながら溶接を行う。アー ク溶接は溶接速度がとても速く,適切なアーク溶接が 行われれば溶接部の強度はかなり高い。しかし,溶接 時に発生する光が強く,溶接箇所が見にくいため,初 心者は溶接不良などの失敗をしやすい,もちろん,慣 れの問題である,。溶接全般に言えることであるが, アーク溶接は,旋盤やフライス盤などの切削加工と比 べて,同一の条件で加工することが尐ないため,加工図1 溶接棒と保持器,手溶接トーチ, 者の技術を必要とする。 51 アーク溶接の手順と実際 図2に示すように,アーク溶接機に電源ケーブル,トーチ側ケーブル及び母材側ケーブルを接続する。溶接機のスイッチを入れて,トーチ先端に取り付けた溶接棒を母材に軽く接触させてアークを発生させる。アーク溶接の基本操作は以下の通りである。 図2 アーク溶接 溶接棒の角度 アーク溶接では,溶接棒の角度が重要で ある。最も基本的な溶接作業として,2枚の 鉄板,母材,を横方向の直線状に溶接する 場合を考える。図3(a)に示すように,左か ら右の方向,右利きの場合,に,溶接棒を 45?程度寝かしながら溶接する。そして,2枚の鉄板に対して同一の角度,90?,に保 つのが基本である。 図3(b)のように溶接棒を傾けた場合,傾図3 溶接棒の角度 けた側と反対の材料が溶けやすくなる。こ れを利用して,両方の材料が均一に溶ける ことを確認しながら溶接を進める。 溶接棒と母材との距離 溶接中,溶接棒先端と母材との間隔を一 定に保たなければならない。目安として, その距離は3,5mm程度である。間隔が近づきすぎて溶接棒と母材とが接触すると,ア ークが発生しなくなり,場合によっては溶 接棒と母材とがくっついてしまう。また, 間隔が離れすぎるとアークが分散され,適 切な溶接ができない。溶接棒は溶接を進め るに従って短くなるので,溶接棒と母材と図4 溶接棒と母材との間隔 の間隔を適切に保つように注意する。 溶接棒の移動 一般に,溶接棒をまっすぐに動かせばよ いわけではない。2つの母材がしっかりと溶 けていることを確認しながら,その間に溶 接棒を埋めていく。イメージとして,?溶 接棒を傾けて片側の材料を溶かす,?もう 一方の材料を溶かす,?溶接棒を押し込む, といったリズムを繰り返すこととなる。 図5 アーク溶接のイメージ 電流の調整 アーク溶接は電流の調整が重要である。電流が弱いと母材がしっかりと溶けず,適切な溶接ができない。ま た,アークが発生しづらく,溶接棒と母材とがくっつきやすい。電流が強いと母材が溶けすぎて穴があいてし まうことがある。 アーク溶接による製作例 52 アングル材を組み合わせて装置を製作する場合,穴をあけてボルト?ナットで組み立てることもできる。しかし,アーク溶接を利用すれば,もっと簡単かつ迅速に装置を製作することができる。図6は,その一例として,模型車いす用動揺台を製作した例である。 (a) アングル材の切り出し作業 (b) 完成した模型車いす用動揺台 図6 模型車いす用動揺台 ガス溶接:アセチレンガスを使った溶接。薄い鉄板の溶接もできる。 ガス溶接の概要 ガス溶接とは燃焼ガスで材料を溶かして接合する溶接である。最も一般的なガス溶接は,アセチレンガスと酸素を使う。ガス溶接は,溶接速度が遅く,溶接部が見やすいので,溶接不良などの失敗が尐ない。また薄板の溶接がしやすいという特徴がある。しかし,アーク溶接に比べて溶接速度が著しく遅いことやアセチレンガスの取り扱いが厄介であること,要免許,などの理由により,あまり能率のよい溶接方法であるとは言えない。 図1 ガス溶接用トーチ 図2 使用するガス TIG溶接:ステンレス鋼やアルミニウムの溶接も可能, TIG溶接の概要 TIG溶接は,熱に強いタングステン電極,T,を持ち, その周囲に不活性ガス,イナートガス,I,を流して溶 接する方法である。溶接箇所に酸素,空気,がなく, 材料が酸化されないため,ステンレス鋼やアルミニウ ム合金の溶接ができるのが最大の特徴である。なお, 不活性ガスにはアルゴンを使用することが多いため, アルゴン溶接とも呼ばれる。 直流と交流 TIG溶接は,アーク溶接と同様,直流と交流があ図1 TIG溶接 る。ステンレス鋼や鉄系材料を溶接する場合は直流, アルミニウム合金を溶接する場合は交流とする。 53 TIG溶接で使用する機器 以下,TIG溶接に用いる機器を紹介する。 図2 TIG溶接用トーチ TIG溶接用のトーチである。アーク溶接の ように溶接棒が短くならす,一定の高さで溶 接できるので扱いやすい。 図2 TIG溶接機本体 TIG溶接をするためには専用の溶接機が必要である。 図4 TIG溶接機の操作パネル 写真はTIG溶接機の操作パネルである。多 くの機能があり,設定次第で高度な溶接が可 能である,筆者は全く使いこなしていない,。 図3 TIG溶接用トーチの先端部 中央がタングステン電極,その周囲に不活性ガス,アルゴ ン,用のカバーが付いている。 54 図5 手元におく操作パネル 手元で電流を調整できる。しかし,適切な 電流は実際に溶接をしてみないとわからな い。 図6 TIG溶接用遮光面 TIG溶接の際に発生する光はかなり強い。TIG溶接に対応 した遮光面が必要である。 TIG溶接による製作例 TIG溶接を利用してステンレス鋼を溶接した例を紹介する。なお,アルミニウム合金の溶接を試みたこともあるが,一度も成功したことはない。 スターリングエンジンのヒータ 50W級スターリングエンジンMini-Ecoboyのヒータを製作する際,旋盤で製作した2つの部品,SUS304,を溶接した。円周箇所の溶接であったため,トーチを一定位置に固定して,ヒータが一定位置で回転できるようなジグに取り付けた。溶接後,約1 MPaの圧力でエンジンを運転したが,溶接部に問題はなく,適切に機能している。 (2) 溶接箇所 (1) ヒータとトーチの固定ジグ 55 (3) 完成したヒータ (4) エンジンへの組み付け 図7 スターリングエンジン用ヒータのTIG溶接 スターリングエンジンのクーラ 全く同じ方法で,同エンジンのクーラを製作した。 溶接することで,クーラを2重構造とし,その内部を冷却水が流れる。 図8 スターリングエンジン用クーラのTIG溶接 ロウ付け:これを使いこなせれば機械加工の幅が広がる。 ロウ付けの準備 ロウ付けとは,部品と部品の間に溶解した 「ロウ」を流し込み,部品と部品を固定する 加工である。部品を熔かすことなく接合する のが溶接と異なる点である。ロウ付けには 様々な種類があるようだが,ここでは最も基 本的な銀ロウを使ったロウ付けを紹介する。 ロウ付けをするために,ガストーチ,アセ チレン?酸素が最適,なければ小型ガストー チでも小さな部品のロウ付けは可能,,銀ロ ウ,フラックス,ライタ,革手袋,レンガ,あ ると便利,,アセトン,アルコールでも可,, を準備する。 図1 準備するもの 56 ロウ付けを「しやすい材料」と「しにくい材料」 ステンレス鋼や鉄鋼はロウ付けしやすい。これらは融点が高く,若干加熱しすぎても材料が溶けないからである。また,黄銅や銅はロウとの相性がよいため,かなり簡単にロウ付けできる。熱がかからず,それほど高い強度を必要としない場所であれば,銀ロウでなく「はんだ」でも簡単に固定できる。一方,アルミニウム合金はロウ付けしにくい,筆者は一度もうまくできたことがない,。ロウとの相性が悪いばかりでなく,融点が低いため尐しでも加熱しすぎると材料が溶けてしまうためである。 ロウ付けの手順 魚ロボットUPF-2001に使用する配管部品 の製作手順を紹介する。図2に示すように, この配管部品は2つの部品から構成されて おり,材質はステンレス鋼,SUS304,であ る。使用時の圧力は低いが,水中で使用す るため,水漏れがあってはいけない部品で ある。 図2 製作する配管部品 図3 部品の準備 図4 部品の洗浄 旋盤やフライス盤を使って,ロウ付けをする部品 アセトンで部品を洗浄する。切削油などで汚れてを仕上げる。はめあい部分は硬くはまる程度,軽くいるとロウがつかないので,穴の奥まで念入りに洗たたいて入る程度,にする。故意に隙間をつけなく浄する。もちろん,さびがあってもロウ付けはできても銀ロウは流れていく。 ない。ロウ付けを成功させる一つのポイントは,丁 寧な洗浄である。 57 図6 ガストーチ 図5 フラックス ガストーチを準備する。今回はアセチレン?酸素 ロウ付けをする部分にフラックスを塗る。フラッの溶接用トーチを使用した。小さい部品であれば,クスが塗られた部分にロウが流れ込む。ロウ付けを小型のプロパンガストーチでもロウ付けできる。 する際,フラックスはとても重要である。 図7 加熱 部品全体が均一な温度になるようにゆっ くりと加熱する。均一に加熱するためには, 大きい部品,熱容量が大きい部品,を強くあ図8 ロウ付け ぶるようにする。また,部品の形状によって は,熱伝導による熱の逃げを考えながら加熱 フラックスが一度白くなり,その後,透明な水あめ状になすることも重要である。 ったら,銀ロウをつける。銀ロウは暖かい方に流れていく性 質があるらしい。 58 図9 ロウ付け終了 ロウ付けが終了したら,ゆっくりと冷や す。急冷すると,ひびが入ることもある。 図10 部品完成 完成した魚ロボット用の配管部品である。あまり上手なロ ウ付けではないが,水漏れはなく,機能上の問題はなさそう である。 ロウ付け加工の例 ロウ付けができると機械加工の範囲が広がる。ロウ付けは,比較的簡単に気体や液体の漏れを止めることができるので,配管部品に利用しやすい。以下,いくつかの使用例を紹介する。 模型スターリングエンジン 模型スターリングエンジンの連結管をロウ付けで固 定した。部品が小さいので,ロウ付けはそれほど難し くない。強度?耐熱性にも十分である。連結管には直 径3 mmのステンレス管を使用しており,シリンダ側の 部品もステンレス鋼製である。 図11 模型スターリングエンジン 実験用スターリングエンジン 実験用スターリングエンジンに圧力センサや熱電対 を取り付ける際,シリンダに直径3 mmのステンレス管 をロウ付けした。最高で1 MPa程度のガス圧力がかか るが,ロウ付け部からのガス漏れもなく,強度も十分 である。 図12 実験用スターリングエンジンの測定部 ロウ付けの際の注意事項 ?フラックスは材料とロウに適したものを使う。 59 ?アセチレンガスを扱うには資格が必要である。 ?火傷や火事に気をつける,当然だが,。 ?コンクリートの上で加熱すると,コンクリートの破片が飛んでくることがある。 第6章 その他の加工 尐し特殊な加工や工作機械について紹介する。 FRPの加工:強度もあり,曲面の加工も比較的簡単にできる。 FRPについて FRPは,ガラス繊維を樹脂で固めたものであり,一般のプラスチック材料と比べて強度が高い材料であり,しかも金属材料よりも軽いという特徴がある。また,適切な型を作れば,曲面の加工も比較的容易である。FRPの加工を扱いこなすことができれば,様々な形状の機械を作ることができるであろう。 FRPの加工手順 以下,魚ロボットUPF-2001の胴体を製作した手順を紹介する。今回は,木材とウレタンで型を作り,それにFRPを被せることとした。手間はかかるが,石こうの型を作ればさらにきれいな加工が可能である。 型の作成 (1) 木枠の製作 (2) ウレタンの挿入 魚ロボットの木枠を作成する。最終的に仕上がる 木枠の中にウレタンを挿入する。これはFRPの型曲面,流線形,の形状である。 であるのと同時に,魚ロボットのフロート,浮材, としても機能する。 (3) ウレタンの整形 (4) 型の完成 のこぎりやヤスリなどを使って,ウレタンを丁寧 全ての型を仕上げる。FRPを加工した後にウレタに整形する。 ンをはがしたい箇所には,表面にセロハンテープを 貼っておく。 図1 型の作成 60 FRPの作成 (1) マットとクロスの切断 (2) 樹脂の調合 FRPの素材となるガラスマット,ガラスクロス。 樹脂と硬化剤を適切な割合で調合する。 を適当な大きさに切断する。 (3) FRPの製作開始 (4) ガラス繊維の積層 最初に,準備した型に樹脂をたっぷりと塗る。 ガラスマットとガラスクロスを交互に積層する。1 枚ごとに樹脂を塗っていく。今回はマット3枚とク ロス2枚を使用した。 図2 FRPの作成 FRPの成型 61 (1) FRPの完成 (2) 不要部分の切断 数時間後に樹脂は完全に固まった。 不要な部分をハンドグラインダーで切断する。こ のときのFRPの粉はかなり強烈である。 (4) ベルトサンダー (3) ハンドグラインダー ベルトサンダーで表面をきれいにしている。 ハンドグラインダーで表面の凹凸をなくしてい る。 図3 FRPの成型 最終仕上げ (1) 表面研磨終了 (2) パテ埋め 表面をきれいに仕上げた。 さらに細かい穴や凸部分をパテ埋めする。早く完 成させたいが,ここで焦ってはいけない。 (3) 塗装 (4) 完成 62 いよいよ塗装している。今回は白と空色のツート 魚ロボットのFRP製胴体が完成した。十分に満足ンカラーとした。 できる仕上がりである。 図4 最終仕上げ FRP部品の製作例 いくつかのFRPを使用した製作例を紹介する。図5は模型スターリングエンジンを搭載した水陸両用船であり,その船体にFRP,カーボンファイバー,を使用している。十分すぎるほどの強度に仕上がっている。また,図6は競技用の人力船である。船体とフレーム,パイプ,にFRP,カーボンファイバー,を使用している。 図5 模型スターリングエンジンボート 図6 人力船 配管:気体や液体を扱うときに必要。使いこなせば高圧シールも可能。 配管について 機械加工とはやや異なるが,気体や液体を扱う流体機械を作る場合,配管の知識や技術が重要になる。多くの規格化された配管部品があり,それを組み合わせれば10気圧,1.0 MPa,程度,あるいはそれ以上の圧力のシールも簡単である。このページでは,配管に使ういくつかの工具を紹介する。 パイプを切る 配管では銅パイプやステンレス鋼パイプを使うことが多い。パイプを切断する場合,図1に示すような配管用のパイプカッターを使うとよい。金のこなどでも切断することはできるが,パイプがつぶれてしまうことがある。 (a) パイプカッター (b) 銅パイプの切断 比較的細いパイプを切断するためのパイプカッタ パイプカッターの刃を締め付けながら,パイプカーである。直径12 mm程度までの銅パイプであればッターを回す。これを繰り返すとパイプをきれいに簡単に切断できる。 切断できる。 図1 パイプカッター パイプを曲げる 63 パイプを曲げるときには,パイプベンダーという工 具を使う。比較的柔らかい銅パイプなどでは手で曲げ ることもできるが,曲げた箇所がつぶれてしまうこと がある。パイプベンダーは,銅パイプの直径に合わせ て,いくつかの種類をそろえておかなければならない。 硬くなった銅パイプを曲げるには??? 古い銅パイプは硬くなっていて,曲げづらいこと がある。そのような場合は銅パイプをガスバーナで 軽くあぶると柔らかくなる。 図2 パイプベンダー パイプを曲げる手順 (1) 銅パイプをパイプベンダーに固定して, (2) パイプベンダーを使って曲げたパイプは 目盛を見ながら曲げたい角度まで曲げる。 きれいに仕上がる。 図3 パイプを曲げる手順 パイプをつなぐ パイプをつなぐ方法はいくつもあるが,ここでは最も基本的で,シール性も高い,フレアを紹介する。 (a) フレアリングツール (b) 銅パイプの固定 フレアリングツールという特殊な工具を準備す 銅パイプをフレアリングツールに固定する。直径る。 によって固定する位置が決まっている。 64 (c) 完成したフレア (d) フレアリングジョイント ハンドルを回して,銅パイプの先端を変形させ, 市販されているフレアリングジョイントなどに取ラッパ状,フレア,にする。 り付ける。きちんと締め付ければ,10気圧程度まで のシールは簡単である。 図4 フレアリングツールによるパイプの継手 配管部品 冒頭で述べたように,規格化された多くの配管部品が市販されており,簡単に手に入れることができる。パイプとパイプをつなぐ部品やパイプとゴムホースをつなぐ部品など,種類は抱負である。これらの配管部品の特徴は,テーパーねじを利用しているものが多いことである。 (a) 鋼製配管部品の例 (b) 黄銅製配管部品の例 図5 配管部品 その他の配管工具 その他の配管工具を紹介する。図6に示すモンキーレンチをパイプレンチは配管作業の必需品である。また,機械加工においては,管用ねじのタップやダイスが必要になることがある。 65 図6 モンキーレンチとパイプレンチ 図7 管用タップ 接着剤?充填剤:そろえておくと何かと便利。 接着剤?充填剤について 機械を組み立てる場合,接着剤や充填剤,シール剤やパテ,が必要になることがある。以下,筆者がよく使う接着剤?充填剤を紹介する。言うまでもないが,これらは適材適所にうまく選択しなければならない。 あると便利な接着剤?充填剤 図1 瞬間接着剤 図2 エポキシ接着剤 アロンアルファに代表される瞬間接着剤である。 2種類の液体を混ぜ合わせて使う。5分程度で硬化衝撃に弱く,強度部材の接着には適していないが,するものから,24時間程度で硬化するものまで多く何かと必要性は高い。 の種類がある。硬化すると強度がかなり高くなるの が特徴である。 図3 多用途接着剤 図4 ゴム?ビニル?発泡スチロール用の接着剤 最近発売された「超」多用途接着剤。ほとんど使 ゴム,ビニル,発泡スチロールなどの接着に使う。 66 ったことはないが,かなり強力な接着剤である。 特に,発泡スチロールを接着する場合,専用の接着 剤でないと材料が溶けてしまうことがあるので注意 する。 図5 木工用ボンド 図6 セラミック接着剤 よく見かける木工用ボンドである。水性で扱いや 高温箇所でも使用できる特殊な接着剤である。たすいが,しっかりと乾燥すると水中でも使うことがだし,衝撃に弱く,ひび割れがしやすい。 でき,とても便利である。 図7 アクリル用接着剤 図8 シリコン系充填材 アクリル専用の接着剤である。丁寧に使えば,透 浴槽などで使われる充填材。乾けば水中でも使う明アクリル板の美しさを活かした接着ができる。 ことができ,シール性が高いのが特徴であるが,接 着の効果はほとんどない。 図10 パテ 図9 シール剤 表面形状を整えたりする場合に使用する。通常,薄 様々な種類のシール剤が市販されている。接着面の塗り用,厚さ2 mm以下,と厚塗り用が市販されてお種類や用途に合わせて選択しなければならない。 り,用途に合わせて選択する。 67 おわりに 本ホームページは,学生たちが最初に眺める機械加工のテキストとして作成されました。なるべく多くの基本的な事項を記述しようと心がけましたが,機械加工は奥が深く,十分な内容になっているとは言い難いものがあります。また,機械加工の方法には正解がないので,このようなホームページの作成はかなり難しいことを実感しました。間違った記述や適切ではない記述も多いかと思います。何かお気づきの点がありましたら,ご連絡をいただけると光栄です。必要に応じて,見直し?修正?更新をしていきたいと考えています。 海上技術安全研究所 平田 宏一 平成14年3月 付録 安全マニュアル:機械加工に関連した安全マニュアル。 機械加工に役立つリンク集:機械加工に関連したリンク集。 68
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上传时间:2017-10-15
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