足球风云日文同人文5あなたでなければ[精彩]

足球风云日文同人文5あなたでなければ[精彩] 足球风云日文同人文5あなたでなければ あなたでなければ (ソ?ティニャ?ヂ?セル?コム?ヴォセ) 『プロローグ』 久保みたいになりたくなかったら。 「アレはどういう意味なんですか」 斉木誠宅の玄関先に立って開口一番、馬堀圭吾はいった。 「……話がみえないんだがな」 斉木はもてあましぎみに片手をあげ、くびすじを揉む。「ま、入れや」 「おじゃまします」 後輩??他校のだが??はガバッと頭をさげた。なかなかしつけが行き届いているようだ。 斉木が馬堀によけいな忠告をしたのはおせっかいというより宣戦布告みたいなものだったのだけれど、馬堀はそうはうけとらなかったようだ。斉木のがわの事情とか、気持ちとか、そんなことはいっさいおかまいなしでこうしてウチにまで追求しにおしかけてくるところをみると、コイツの頭のなかはたぶん今ひたすら神谷のことでいっぱいなんだろう。その気持ち、斉木はわからないでもない。 部屋に通されるなり、まっていたかのように馬堀が爆弾を炸裂させた。 「神谷さんはなにもしゃべってくれないんですよ。久保さんとのこと」 「お前、オレがいったことをそのまま神谷に話したのか～,」 斉木は目の前がサーッとくらくなるのをおぼえた。 「いけませんでしたか,」 馬堀はいう。 「こういうことはヤブをつつくようにしたってダメですよ。ハッキリ訊かないと」 「……さすが、帰国子女」 斉木はうめく。 「ナンですかそれ」 馬堀はバカにしたようにハナで笑ったが、斉木がとりあえず「まあ座れ」と座布団をすすめると素直に「失礼します」とあいさつして座った。 シマッタ。 と、その刹那斉木はおもった。 馬堀はドッカリ腰をすえてテコでもうごかないかまえだ。このぶんだとききたいことをきき出すまでコイツはぜったいに帰らないにちがいない。こっちは他校の後輩の相手してるヒマなんかないのに。 久保みたいになりたくなかったら、必要以上に神谷に近づくな。 アイツは魔性の女みたいな奴だ。 なんであんなこといっちまったのかと斉木は心のなかで頭をかかえる。 「で、なんの話だ, 馬堀」 「久保さんのこと。それに神谷さんのことです」 「そいつは一口にはいえない話だな」 「じゃあ何口ならいえるんですか」 「ガキみたいにまぜっかえすな」 「だってオレまだ高校生ですもん」 と馬堀は語尾にハートマークをつけて応じた。 「ねぇ斉木さん。掛高に入ったときから、オレにとっては神谷さんのサッカー部なんですよ。久保さんのサッカー部じゃない」 「久保のつくったサッカー部だ。それは変わらん」 「だから忘れろとはいってませんよ。オレだって久保さんのことは創設者の一人として尊敬してます。だけど、なんで神谷さんはあんなに過去にこだわってンですか」 「久保にこだわってるのはお前のほうだ、馬堀」 「それはみとめますけど」 馬堀はふう、とためいきをついた。「ったく、強敵だな,」 だれがだ。久保がか。それとも神谷が, 斉木は問いただしてみたい気持ちをのみこんだ。 「アンタがですよ、斉木さん」 そう、馬堀がいったかいわなかったか……。 『パート,』 神谷はどうだったかしらないけど久保のほうはひと目惚れだった。それはもうまちがいなく。 それまで、久保の恋人はサッカーだった。サッカーがこの世のすべてだったといってもいい。 まだ恋とか愛とかそんな言葉を知るまえから、サッカーにゾッコン惚れこんでいた。 というより、自分がサッカーに対していだく気持ちをつうじて、恋愛というモノを理解していたにひとしい。 はじめて神谷をみたとき。 久保はシビれたようにおもった。 ここにサッカーの精霊(ガイスト)がいる……と。 神谷のボールコントロールは美しかった。 神谷のプレイは想像力にみちていた。 どんなささいな動きでも見る者をひきつけてしまう。ひきつけておいて、かわす。おもいがけない方向に。 局面をあざやかにひっくりかえし、やすやすと防御の裏をかいて??? 決める。 キラーパスを??? ゴールを??? 久保にはじっさいに試合をやるまえからわかっていた。 天才を知るのは天才だという。 サッカーのことならなりふりかまわなくなる久保は、だから神谷に対してもためらいがなかった。 久保のなかでサッカーと神谷はひとつにむすびついていたから、神谷なしの掛高サッカー部なんてかんがえる以前のクズ以下、ゴミ以下でしかなかった。 オレのサッカー。オレの神谷。 ふたつのあいだに区別はなく。 なにひとつ矛盾はなく。 人にそれをみとめさせる必要があるならそのためにどんなことだってできた。 だって??? サッカーなしでは生きられない。 神谷なしでは生きられない。 そういうと神谷はブスッとした顔をして、「オレはそんなたいそうなモンじゃねェ」とかいったけど。 でもそのあとすこしだけはにかんだ笑顔で「ありがとう」といったその表情を久保は宝物のように胸のなかにしまっている。 いろいろなものがすこしずつ、でも確実に、止めようもなくうばわれていってしまうなかで、神谷の最初のそのまぶしい笑顔だけはずっと久保の心に焼きついていた。 神谷がいて??? サッカーができる。 それは久保にとってはあまりにもあたりまえのことで。 そのことの幸せの意味をかんがえたことさえなかった。 サッカーとの出会いとおなじく神谷との出会いも必然だったとおもっていたから??? サッカーをやる才能とおなじく生まれる前から自分にあたえられた運命だと信じて疑わないできたから。 だってこんなに息のあうパートナーはほかにいない。 オープンスペースに走りこめばきっとパスを通してくれる。 ゴールまでのただひとつのコースにボールをのせればきっと合わせてくれる。 言葉もつかわずに目を合わせるだけでこれほど意思が通じる。 まるでひとつの意思を共有しているみたいだと、 切り離すことのできない自分の一部みたいだとかんじた。 自分がそうかんじるのだから神谷もおなじようにかんじているはずだと???? 信じていた。 高校でサッカーをつづける機会を失うかもしれない。 インターハイ優勝の可能性、いやそれどころか出場の可能性さえ失うかもしれない???? そう知ったときはじめて久保はゆれた。 それまでかんじたことのない想いにつきうごかされた。 サッカーができなくなるかもしれない。でもオレには神谷がいる。 オレがプレイできなくてもオレの意思は神谷がつたえてくれる。 あいつならふたりでつくりかけたものをきっと最後まで守ってくれる。 それは奇妙な幸福感で。 (最悪の場合のことはかんがえなかった。) フィールドの上では迷うことはない。 ボールをもっていればパスコースを見失うことはない。 そのはずだったのに???? サッカーがなくても神谷がいれば。 それなのに???? どうしてこたえてくれないの?????? 神谷………… 『パート,』 久保があの女を見るまなざしに気づいたとき、神谷はすこしだけほっとした。 神谷が自分のまわりにはりめぐらした壁を(その半分はまわりの人間がこしらえたものだが)やすやすとのりこえてきた久保のこと を、神谷は初めどうあつかっていいかわからなかった。 もっとも、神谷に相手する気がなくても向こうのほうがかってに近づいてきて居すわってしまったから、神谷にできることといったら、無視するか(すると久保は全身からカマッテ光線を放ってまとわりついてくる)、ウルサイといってボコボコにするか(するとよろこんでよけいにじゃれついてくる)、でなければもう覚悟をきめてトコトンつきあってやるしかなかった。覚悟をきめればそれはそれほどむずかしいことじゃない。久保は裏表のないヤツだったから。 「お前、誘導尋問に弱いねェ,」 「神谷のハラのなかはぜんぜんよめないよね。なに考えてるの,」 「お前が考えも及ばねェことだよ」 久保とはサッカーのうえのつきあいだけ。 そう割りきることにしたら、神谷はラクになった。 でもふたりの生活はほとんどすべてサッカーに占められていたから、 よけいなものがはいってくるすき間なんかなかったから、 ふたりは四六時中いっしょにいてもふしぎではなかった。むしろそのほうがしぜんだった。 「お前、サッカー好きか,」 「ああ」 それだけなら。 それだけなら、なにも問題はなかった???? 「好きだよ、神谷」 どうして久保はああ照れもなくしゃあしゃあといってのけられるのか。ヨーロッパ流というヤツか。 こっちは日本人なんだから、日常的に好きだとか愛してるとかマイハニーとかいってる連中といっしょにしないでくれ。あれはあいさつなんだろう。日本語の「好き」の重さとは比較にならないんだから。 「好きだよ」 「ああ。わかってる」 久保にいわれるたびに神谷はすこしずつなれていった。 また久保のいつものごあいさつだなとかんがえることに。 そこに深い意味なんかないと押しやることに???? 神谷がそうやってうけ流すごとに久保の目が真剣みをおびていく。 熱をもったまなざしになっていく。 そのことに気づかなかったわけじゃないけど、 気のせいだと自分にいいきかせた。 くだらない期待をはねのけた。 久保とはいっしょにサッカーをするだけの関係だ。 それ以上のことは。 かんがえるのが怖かった。 いちど裏切られていたから????? ???まだその傷はいえてない。 だから絆されそうになる心をおしころして、はねのけて。 自分がだれかを必要としているなんて、かんがえるだけでもたえら れない。 フィールドの中でも、外でも。 だれのことも必要じゃない。 でも久保にはだれかが必要だ。 優柔不断な久保には。 久保の思うサッカーをするために、 あの女(コ)を手に入れるために、 手助けが必要なことはわかっている。 久保はいいヤツだから。 力をかしてやってもいい。 「今度デートに誘ってみろよ」 あとおししてやらないと。 きっと久保はいつまでたっても先に進まないから。 おせっかいをやくのは、でも久保のためじゃない。 自分のため。 自分が傷つかないため。 いい友達でいるかぎり、きっとそんなことにはならない。 「いい友達」ならやっていける。 パートナーで、相棒で。名コンビで。 それ以上でもそれ以下でもない。 「じゃあオレが食っちまお,,っと」 恋も戦争もおなじだ。どんな戦略もゆるされる。 それが負けるための戦略だとしても。 思いえがいたとおりに久保のこころがうごいていくのを、見ているのは、 ????つらくなんかなかった。むしろ、ほっとした。 『パート,』 その日もふたりはいつものように練習を終えて、いつものようにいっしょに帰り道をあるいた。 帰るとちゅうに例の公園にさしかかったとき、久保が神谷をうながした。 「ちょっと寄ってかないか, 話があるんだ」 「また理想のサッカー話かよ,」 神谷がからかうと、久保はさびしげな笑みをつくった。神谷はフト胸をつかれた。はじめてみる表情ではなかったからだ。 このところ久保はそんな顔をしていることが多かった。ただ、神谷がそれに気づかないフリをしていただけだ。 久保がそんなセツナイ笑顔をするワケを、しりたくなかっただけだ。 神谷は口をつぐむと、ズンズンと公園のなかにはいっていき、高校生の今ではひくすぎるブランコに腰をかけた。 久保はしずかにあとをおってきて、神谷のこしかけたブランコの脇に立った。 「話って,」 神谷がブランコをゆすりながら水をむけた。 久保の手がのびてきて、くさりをつかみ、???? ブランコのゆれをとめた。 そして。 「好きなんだ」 …………だれが, 「神谷のことが」 久保はくさりから手をはなした。 解放されたブランコは、とまったままだった。沈黙があたりを支配する。 いつもなら、「わかってる」とか、「またそれか」とか、そんな言葉が続くのに、神谷はなにもいえなかった。 「…………久保」 「神谷は,」 「いったい、なんの話をしてるんだ, 久保」 「神谷はオレのことをどうおもってる,」 とうとう、来るべきものがきたというかんじだった。神谷がいちば ん恐れていた問い。 「尊敬してる。ひとりのサッカー選手として」 その答えは用意してあったのに、なぜかスラスラと神谷の口からでてこなかった。 「いい友達さ。ときどきバカなヤツだとおもうけどな」 そうやってかわすこともできなかった。 そのかわりに、 「北原さんは……,」 神谷はかろうじて声をしぼりだした。 「北原さん,」 久保がまたうっすらとわらった。 「彼女のことは、またべつだよ」 神谷は関節が白くなるまでブランコのくさりをにぎりしめた。 「イミがわかんねえよ」 「なにが, カンタンなことじゃない」 「そんなこというお前の気持ちがわかんねえよ～」 「どうして, ウソもなにもいってない。オレは神谷のことが好き。神谷は,」 久保は神谷をみおろしている。その影が長くのびて神谷にかかって いる。 神谷はこしかけて目を落としたまま、顔をあげようとしない。 「きらいじゃない」 「そんな返事はききたくない」 「オレになにをいわせようとしてるんだ, 久保」 「ホントの気持ちだよ、神谷。心にもないことはききたくない」 「お前にオレのなにがわかるんだよ」 「お前にはオレの気持ちがわからないの,」 「わからない。わかりたくない」 「そういうとおもった」 久保がしずかに身をひいた。 影が神谷を離れた。 「まってくれ、久保」 久保がたちどまった。 神谷が顔をあげる。 「時間をくれ」 「目をみていってくれ」 神谷がギクリと身じろぎする。 久保はいつかのように制服のズボンのポケットに手をつっこんで立ち、神谷の返事をまっている。 神谷のまつげがふるえ、それから、神谷はブランコからたちあがって、正面から久保の目をみた。 「時間をくれ」 「,,」 久保はわきの下にかかえていたボールを落とすと、ひざでポンとリフトした。ボールは弧をえがいてとび、神谷の胸もとにおさまった。 やさしいシュート。 うけとめたのはキーパーだったのか、ゴールだったのか。 得点できたのか、それともコーナーから仕切り直しなのか。 久保にはわからなかった。 神谷は、わかりたくない、と自分にいいきかせた。 『トゥ?ビー?コンティニュード』 「つまり久保さんが告白して、神谷さんが返事をまってくれといって、で、またせているあいだに久保さんがしんでしまったと、そういうことですか,」 馬堀がみもフタもないまとめ方をすると、斉木はちょっとイヤな顔をした。 それを無視して、馬堀ははきだすようにいう。 「バッカみたい」 「……」 斉木はタバコとライターと灰皿をとりだし、非難するような馬堀の目のまえで、ワザとゆっくりタバコをくわえ、火をつけた。 「いいか馬堀。オレは、あのふたりのあいだにあったのは、そういうことだとおもってる」 煙がためいきの形をつくって、ただよいながれた。????でも『それだけ』でもないんだぜ、馬堀。 あのふたりをみていない人間にはわからないだろうから、斉木は常識的な意見でしめくくる。 「不幸だったのは、久保にはけっきょく時間がなかったってことだ」 馬堀はフッとハナ先でわらった。 「で, 久保さんがしんだのは神谷さんがじらしたせいだっていうんですか,」 あーあバッカみたい、ともういちどくりかえして、斉木をみる。 「影響がなかったとはいいきれないだろ」 斉木は慎重に言葉をえらんだ。 「ああ、病は気からっていいますからね～」 馬堀はスックとたちあがると、座布団をふみつけて歩きまわりだした。 「大バカ野郎だ。時間がないっていわなかった久保さんも、そのことに罪悪感をかんじてる神谷さんも」 イライラしたようにいい、 「それになにもしないでそんな神谷さんをみていた斉木さん、アンタもですよ～」 と刺すような視線をむける。 「すうか,」 その視線をかるくいなして、斉木は冗談半分にタバコをふってみせた。 馬堀が全身に怒りをみなぎらせて斉木をにらんだ。斉木はニヤッとわらってみせる。馬堀は肩をすくめ、いきなり手をのばすと、斉木が反応するまもなくタバコをうばいとり、一口ふかした。 「……」斉木はだらしなく口をあけた。 「ナンですか, そのカオ」 「あ、いや、………その、……………間接キス」 「はあっ,～ ナンですかそれ」 斉木はだまって、自分の口と、今は馬堀の指のあいだにはさまれているタバコとを指した。 いわんとするところは理解したようだ。馬堀のひたいにシワがよる。 それから、馬堀はイライラした動作でタバコをもみ消し、半分とざした目で斉木をみやった。 「幼稚園児ですかまったく。キスってのはね」 ????斉木は不意をつかれた。 どうしてこういう展開になるのだか、斉木にはまったく理解できない。だが襟をひっつかんでグイッとひきよせているのは馬堀の手いがいのなにものでもなく、唇におしつけられているのは馬堀の???, 斉木がなにか行動を起こすまえに、馬堀はつきはなすようにして斉木を解放した。 「ま、オレが本気出したらこんなもんじゃありませんけどね」 馬堀はなげやりにいってから、すっかりカタまってしまっている斉木をとくと観察した。 「どうしました,」 「お前、ブラジルでこういうことも練習してたのか,」斉木はうめき、手の甲で口をぬぐった。「油断した」 「もう忘れたほうがいいですよ,」 馬堀は顔をしかめて、 「まさか……初めてとかいいませんよね斉木さん」 「バカいうな」 どもらなかったのは上出来だが、ちょっと返事がおそかった。 馬堀はさらにふみこむ。 「初めては、神谷さんですか」 「……知るかよ」 もっとうまい返し方があるだろうに、と斉木は内心、頭をかきむしる。馬堀がまた顔を近づけ、斉木はビクッと身をひいた。完全に防御体勢である。 「でも、神谷さんの初めては斉木さんだった」 馬堀が斉木の目をとらえたままゆっくりと単調に発言する。 「……」 「へえ。そうだったんだ」 どことなくかちほこったような口調でいって、馬堀はひっこんだ。 「オイ、カン違いしてんじゃねえよ～～」 斉木はテーブルをドンッと叩いてわめいた。 「よしてくださいよ、斉木さん。いまさら見苦しいですよ」 「バカ、かってに妄想してんじゃねえ～」 「妄想,」 帰りじたくにかかっていた馬堀が、手をとめた。「アンタのほうがよっぽど妄想大王でしょう。みてるだけでなにもしない。いや、したのか」 すくうような目つきで斉木をヒヤリとさせると、馬堀はつづけた。 「でもアンタは下りたと。そういうことですよね。だったらもう口出ししないでください」 「ひとりでどんどんつっぱしっていくなよ……」斉木は抗議する気にもなれない。無性にタバコがすいたかったが、あんなマネをされたあとではうかつなことはできなかった。 「負けませんからね」馬堀がたちあがり、斉木をみすえた。 「久保さんにも、斉木さんアンタにも、オレは負けませんからね」 「オイオイ……なにひとりで熱くなってるンだよ……」 馬堀はでていくまえにペコリと頭をさげた。 「どーもっ～ おじゃましました～」 とりのこされた斉木はようやくつめていた息をはきだした。 いいたいことだけいって帰っていった他校の後輩のことをかんがえる。そしてソイツをあくまで礼儀正しく仕込んだらしい人物のことも。 馬堀はスッカリ神谷のことをとらわれのお姫様かなにかのようにおもい込んでいるらしいが。 斉木はフクザツなおもいで首をふる。 それはちがう。そんな単純なモノじゃない。 そこがすべての間違いのはじまりだと、ミニ久保みたいな馬堀におしえてやる気は????? 斉木には、もう、なかった。