- 1 -
短答式試験問題集[民事系科目]
- 2 -
[民事系科目]
(配点:2)〔第1問〕
詐害行為取消権に関する次の1から5までの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものは
どれか (解答欄は )。 ,[№1]
1.詐害行為取消権は,必ず裁判上で行使しなければならないので,訴訟外の意思
表
关于同志近三年现实表现材料材料类招标技术评分表图表与交易pdf视力表打印pdf用图表说话 pdf
示では足りな
いが,訴訟において抗弁で提出することは認められる。
2.詐害行為取消訴訟において,取消しの対象となるものが金銭又は動産であるときは,原告は,
取消しの効果はすべての債権者のために利益を生ずるという民法の規定にもかかわらず,被告た
る受益者に対して,自己に給付せよという判決を得ることができる。
3.債務者が,その行為によって債権者を害することを知っていたという詐害行為の成立要件につ
いては,取消債権者が証明しなければならない。
4.一部の債権者に本旨弁済をした場合でも,債務者がその債権者と通謀して,他の債権者を害す
る意思をもって弁済をしたことまでを取消債権者が証明すれば,詐害行為となる。
5.受益者が当該行為によって他の債権者を害することの認識については,取消債権者に受益者の
悪意についての主張立証責任が課されるのではなく,受益者の方が自らの善意を主張立証しなけ
れば,詐害行為の成立を否定することはできない。
(配点:2)〔第2問〕
次のアからエまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後
記1から5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№2]
ア.売買契約の売主は,履行期について特約がない限り,売買目的物を引き渡す前において,買主
に対して有する売買代金債権を自働債権,買主に対して別途負っている借入金債務を受働債権と
して,対当額で相殺することはできない。
イ.売買契約の売主が買主に対して一度売買目的物の引渡しの提供をしたときは,買主はその後の
売主からの売買代金請求に対して,売買目的物の引渡しと引換えに支払うことを主張することは
できない。
ウ.債務の履行とその債務を担保するために設定された抵当権設定登記の抹消登記手続とは,同時
履行の関係にはない。
エ.売買契約が売主の債務不履行により解除された場合の当事者の原状回復義務は同時履行関係に
あるが,売買契約が売主の詐欺により取り消された場合の当事者の原状回復義務は同時履行関係
にはない。
1.ア,イ 2.ア,ウ 3.イのみ 4.イ,エ 5.ウ,エ
(配点:2)〔第3問〕
物上代位に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1か
ら5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№3]
ア.判例によれば,債務者が破産した後であっても,動産売買先取特権に基づく物上代位権も抵当
権に基づく物上代位権も行使できる。
イ.判例によれば,債務者が第三者に対して有する賃料債権につき,債務者の一般債権者が差押え
を行ったとしても,抵当権は優先弁済権を第三者に対抗できるから,配当要求の終期までに設定
登記をして物上代位の手続をとれば,抵当権者は物上代位権を行使して,一般債権者に優先する
ことができる。
ウ.目的物の売買代金に対して,動産売買先取特権に基づく物上代位のみならず,抵当権に基づく
物上代位も明文で認められており,解釈で否定することはできない。
- 3 -
エ.判例によれば,抵当目的不動産の賃料債権に対する物上代位は,賃料債権を生じる賃貸借契約
が,抵当権設定登記後に設定された場合にのみ可能である。
オ.請負工事に用いられた動産の売主には,請負人が注文者に対して有する請負代金債権に対して
も,動産売買先取特権に基づく物上代位権の行使が認められる場合がある。
1.ア,イ 2.ア,オ 3.イ,エ 4.ウ,エ 5.ウ,オ
(配点:2)〔第4問〕
次のアからオまでの記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちど
れか (解答欄は )。 ,[№4]
ア.ある動産に留置権を取得した者は,その占有を第三者に奪われた場合でも,その第三者に対し
て留置権に基づく返還請求を行うことができない。
イ.抵当権の目的となっている土地に第三者が時折所有者に無断で材木を置いている場合,抵当権
者は,抵当権に基づく妨害排除請求ができる。
ウ.所有動産を無料で貸し与えたところ,借りた者が期限が到来したのに返さない場合,請求権競
合に関するどのような見解に立っても,所有権者は,所有権に基づく返還請求権を持つ。
エ.所有者から預かった動産が盗まれた場合において,受寄者は,盗まれた時から2年以内であっ
ても,盗品であることを過失なく知らずに同種商品の販売商人から取得した占有者には返還を請
求できない。
オ.賃借建物に機械を借りて備え付けた建物賃借人が,賃貸借終了時にこの機械を撤去しない場合
には,建物賃貸人は,建物の所有権に基づき,その機械の所有者に建物所有権を侵害することに
ついて故意・過失がなくても,この者にその機械の撤去を請求できる。
1.ア,ウ 2.ア,オ 3.イ,エ 4.イ,オ 5.ウ,エ
(配点:2)〔第5問〕
次のアからオまでの記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのう
ちどれか (解答欄は )。 ,[№5]
ア.Bが善意・無過失・平穏・公然にA所有の甲土地の自主占有を開始してから10年が経過する
直前にAがCに甲土地を譲渡し,10年経過後にCが移転登記を得た場合,判例によると,Bは
登記がなければCに甲土地の時効取得を対抗できない。
イ.Bが善意・無過失・平穏・公然にA所有の甲土地の自主占有を開始してから10年が経過する
直前にAがCに甲土地を譲渡し,Cが移転登記を得た場合,登記による取引安全確保の機能を重
視する学説によると,Bは登記がなければCに甲土地の時効取得を対抗できない。
ウ.Bが善意・無過失・平穏・公然にA所有の甲土地の自主占有を開始してから10年経過後にA
がCに甲土地を譲渡してCが移転登記を得た場合,判例によると,Bは登記がなければCに甲土
地の時効取得を対抗できない。ただし,Cが背信的悪意者に当たる場合はBは登記がなくても時
効取得を対抗できる余地がある。
エ.ウの事例において,BがCの登記時からさらに20年,Cから権利主張をされることなく甲土
地の占有を続け,その後に取得時効を援用したときは,判例によると,Bは登記がなくてもCに
対し,甲土地の時効取得を対抗できる。
オ.ウの事例において,BがCから権利主張をされることなく占有開始時から20年間甲土地の占
, , 。有を続けたとしても 判例によると Bは登記がなければCに甲土地の時効取得を対抗できない
1.ア,イ 2.ア,オ 3.イ,ウ 4.ウ,エ 5.エ,オ
- 4 -
(配点:2)〔第6問〕
AはBに対し,1,000万円を貸し付けた。その際,B所有の甲土地に抵当権を設定するとと
もに,Cがその債務を保証し,D所有の乙土地にも抵当権が設定された。甲土地はその後Eに売り
渡され,乙土地にはDのFに対する債務のため次順位の抵当権が設定された。また,BはAからの
借入れ後,Gからも500万円を借り受けた。BのAに対する債務が弁済期から10年を経過した
, , , 。( ,とき 判例の趣旨に照らし Bを除き この債務の消滅時効を援用できるのはだれか 解答欄は
)[№6]
1.C及びD 2.C,D及びE 3.C,D及びF 4.C,D,E及びF
5.C,D,E,F及びG
(配点:2)〔第7問〕
次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後
記1から5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№7]
ア.Aは,その財産を隠匿するため,その所有する甲土地をBに仮装譲渡し,Bに対する所有権移
転登記を了した。Cは,AB間の譲渡が仮装のものであることを知らないで,Bから甲土地を買
い受けたが,その後CがBから所有権移転登記を受けない間に,AB間の所有権移転登記が抹消
され,登記名義がAに復した。この場合,Cは,Aに対して,甲土地の所有権移転登記を請求す
ることはできない。
イ.Aは,その財産を隠匿するため,その所有する甲土地をBに仮装譲渡し,Bに対する所有権移
転登記を了した。その後,AはBとの間で,前記仮装譲渡を撤回する旨の合意書を交わしたが,
登記はB名義のままにしている間に,Bは仮装譲渡の事実を知らないCに対して甲土地を譲渡し
た。この場合,Aは,AB間の甲土地譲渡の無効をCに対して主張できない。
ウ.Aは自分が多額の債務を負っているように仮装するため,Bと通謀して,BからAに対する金
員の授受がないにもかかわらず,BがAに対して1,000万円を貸し付けたことを示す消費貸
借契約書を作成した。事情を知らないBの債権者Cが,前記のBのAに対する貸金債権につき債
権差押えをした場合,Aは,消費貸借契約が無効であることを主張できない。
エ.Bは,信用を増すために,Aからその所有する甲土地の仮装譲渡を受け,AからBへの所有権
移転登記を了し,その登記簿をCに見せて融資を依頼した。Cは,Bが真実甲土地を所有してお
り,資力のある者と信じて,Bに対して1,000万円を貸し付けたが,その後,BはAに対し
て登記名義を戻してしまった。この場合,Cは,甲土地がBの所有であることを主張できる。
オ.Aは,Bから取引上の信用を得るために,A所有の甲土地の名義を貸してほしいと頼まれ,甲
土地につき売買予約を仮装してBを権利者とする所有権移転請求権保全の仮登記手続をした。そ
の後,Bは,Aの実印及び印鑑証明書を用いて前記仮登記に基づき自分に対する所有権移転の本
登記手続をした上,Cに甲土地を譲渡した。Cが,登記名義人Bを甲土地の所有者と信じたが,
信じるにつき過失があったときは,Cは甲土地の所有権の取得をAに対して主張することはでき
ない。
1.ア,イ 2.ア,エ 3.イ,オ 4.ウ,エ 5.ウ,オ
(配点:2)〔第8問〕
次の1から5までの記述のうち,正しいものはどれか (解答欄は )。 ,[№8]
1.債権の客体は有体物ではないのに対し,物権の客体は有体物に限られる。
2.債権関係に基づく請求権は消滅時効にかかるが,物権的請求権は消滅時効にかからない。
3.1筆の土地に関して,債権が登記を備えた物権に優先することはない。
, , 。4. 1筆の土地の一部に関して 債権関係が成立することはあっても 物権が成立することはない
5.物権には時効取得が認められるが,債権には時効取得は認められない。
- 5 -
(配点:2)〔第9問〕
次の1から5までの事例のうち 判例の見解によれば要素の錯誤とならないものはどれか 解答, 。(
欄は ),[№9]
1.Aは,知人のBから頼まれ,借主はBだと思って100万円を貸し付けたが,実は借主はCで
あった。
2.Aは,Bが所有する甲土地を1,000万円で買うとの契約を締結した。しかし,Aが甲土地
だと思っていたのは乙土地で,実際の甲土地は乙土地より不便で日当たりの悪い土地であった。
3.Aは,Bから,100馬力あるという中古のエンジンを買うとの契約を締結したが,実際この
エンジンは10馬力しかなかった。
4.Aは,Bから,Bの所有であると思って甲土地を賃借する契約を締結したが,甲土地の所有者
はCであった。
. , , ,5 Aは Bに対し CのBに対する債務を担保するつもりで自己の所有地に抵当権を設定したが
実はDのBに対する債務を担保することになっていた。
(配点:2)〔第10問〕
次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1
から5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№10]
ア.売買の目的物に隠れた瑕疵がある場合,非商人間の売買においては買主に代金減額請求権はな
いが,商人間の売買においては買主に代金減額請求権がある。
イ.土地の売買の買主が,土地の引渡しを受けてから20年後に当該土地の隠れた瑕疵を知って,
それから1年以内に売主に対して損害賠償請求をした場合,売主は損害賠償請求権の消滅時効の
抗弁を援用することができる。
ウ.買主が売買の目的物に隠れた瑕疵があることを理由に売主に対して損害賠償請求をするには,
瑕疵があることを知った時から1年以内に訴えを提起しなければならない。
エ.土地の売買契約に当たり,坪当たり単価に土地面積を乗じて代金額を決定した場合,実際の面
積が契約時に用いた面積より大きいことが後日判明したときは,実際の面積に応じて代金を精算
する旨の契約当事者間の合意がなくても,売主は買主に対して代金の増額を請求することができ
る。
オ.建物とその敷地又は敷地の賃借権の売買において,敷地に,地盤が軟弱で不等沈下するという
隠れた瑕疵があった場合,建物と敷地の売買においては,買主は売主に対して瑕疵担保責任を追
及することができるが,建物と敷地の賃借権の売買においては,買主は売主に対して瑕疵担保責
任を追及することはできない。
1.ア,ウ 2.ア,オ 3.イ,エ 4.イ,オ 5.ウ,エ
(配点:2)〔第11問〕
, 。認知に関する次のアからエまでの記述のうち 判例の趣旨に照らし誤っているものは何個あるか
(解答欄は ),[№11]
ア.未成年者が法定代理人の同意なくして認知をしたときは,その認知は無効である。
イ.認知届が認知者の意思に基づくことなくされたとしても,認知者と被認知者との間に事実上の
親子関係があるときは,その認知は有効である。
ウ.父は,胎内にある子でもこれを認知することができるが,その場合には家庭裁判所の許可を得
なければならない。
エ.妻以外の女性との間にもうけた子につき,妻との間の嫡出子として出生の届出をし受理された
ときは,その届出は認知届としての効力を有する。
1.1個 2.2個 3.3個 4.4個 5.誤っているものはない
- 6 -
(配点:2)〔第12問〕
2005年1月,AはBに建物建築資金を融資し,Bの所有する甲土地に根抵当権の設定を受け
根抵当権設定登記を得た。その後Bは自分自身で建物を建築することを断念し,甲土地を期間20
年の約定でCに賃貸し,Cが甲土地上に乙建物を建築した。この事例に関する次のアからエまでの
記述のうち,正しいものはどれか (解答欄は )。 ,[№12]
ア.Aや,甲土地の根抵当権が実行された場合の甲土地の買受人Dに対して,Cが甲土地の賃借権
を対抗できる
方法
快递客服问题件处理详细方法山木方法pdf计算方法pdf华与华方法下载八字理论方法下载
はない。
イ.Aが,甲土地の根抵当権の実行として,甲土地と一緒に乙建物の競売を申し立てることはでき
ない。
ウ.Aが建物の建築を想定して甲土地に根抵当権の設定を受けた場合であっても,法定地上権は成
立しない。
エ.Aは,Cが乙建物を建築した時点以降は,BのCに対する賃料債権につき,甲土地に対する収
益執行手続か抵当権に基づく物上代位手続のいずれかを自由に選択して,優先権を主張すること
ができる。
1.ア 2.イ 3.ウ 4.エ 5.正しいものはない
(配点:2)〔第13問〕
A,B,Cの3名が共同で縫製機械を所有して縫製請負事業を行うため,6:3:1の割合で金
銭を出資して組合契約を締結して甲組合を結成し,甲組合がDから縫製機械を分割払で購入して縫
製請負事業を開始した この事例に関する次の1から5までの記述のうち 正しいものはどれか 解。 , 。(
答欄は ),[№13]
1.甲組合がDに縫製機械の残代金を支払わない場合,Dは,A,B,Cの出資割合の知・不知に
かかわらず,A,B,Cの各自に対して,均等の割合で残代金の支払を請求することができる。
2.甲組合に対して縫製請負代金債務50万円を負うEが,Aに対して30万円の貸金債権を有す
る場合,Eは,両方の債権債務を相殺することができる。
3.前記2の場合,Aは,甲組合のEに対する縫製請負代金債権のうちの30万円をもって,Eに
対する借入金債務と相殺することができる。
4.組合契約をもって業務執行組合員を定めなかったときは,甲組合の業務執行は,BとCの合意
により決定することができる。
5.Aが死亡した場合,甲組合は当然に解散し清算される。
(配点:2)〔第14問〕
次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1
から5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№14]
ア.被用者の重大な過失による失火によって生じた損害については,その使用者は被用者の選任又
は監督について重大な過失がなくても賠償責任を負う。
イ.家屋の建築業者がその過失により隣家に損害を与えた場合において,被害者が注文者に対して
損害賠償を請求するためには,注文者が注文又は指図について過失があったことを被害者が主張
立証しなければならない。
ウ.他人の飼い犬にかまれてけがを負った被害者が飼い主に対して損害賠償を請求するためには,
飼い主の過失を被害者が主張立証しなければならない。
エ.建物の保存の瑕疵によって他人に損害を生じた場合,建物の占有者及び所有者は,損害の発生
防止に必要な注意をなしたことを主張立証すれば免責される。
オ.自動車損害賠償保障法に基づく自動車の運行供用者の損害賠償責任は無過失責任である。
1.ア,イ 2.ア,ウ 3.イ,エ 4.ウ,オ 5.エ,オ
- 7 -
(配点:2)〔第15問〕
AはBに対し,自己所有の土地を売却する代理権を与え,代理人欄と委任事項欄が共に白紙の委
任状を交付した。この事例に関する次の教授の質問に対する学生の1から5までの回答のうち,誤
っているものはどれか (解答欄は )。 ,[№15]
教授 Bは,白紙委任状の委任事項欄にBのCに対する債務を担保するためA所有の土地に抵当権
を設定するとの
内容
财务内部控制制度的内容财务内部控制制度的内容人员招聘与配置的内容项目成本控制的内容消防安全演练内容
を記入し,Cとの間で抵当権設定契約を締結しました。この場合,相手方
Cを保護することはできますか。
1.学生ア BにはA所有の土地を売却する代理権があったのですから,これを基本代理権として
民法第110条により相手方Cを保護することができると思います。
2.学生イ 私は,AはBに対し,白紙委任状を交付することによりCに対して代理権授与表示を
したといえるから,民法第109条により相手方Cを保護することができると考えます。
教授 では,Bが本来その利用が予定されていないB’に白紙委任状を交付し,B’が白紙委任状
の代理人欄に自己の名を勝手に記入した上,委任事項欄にB’のCに対する債務を担保するた
めA所有の土地に抵当権を設定するとの内容を記入し,Cとの間で抵当権設定契約を締結した
場合はどうですか。
3.学生イ 白紙委任状の代理人欄だけを利用して委任事項についてはBに与えた代理権の範囲内
であったのであれば,民法第109条で保護できると思いますが,本件では委任事項欄につ
いても逸脱があるので,もはや第109条の代理権授与表示があったとはいえないと思いま
す。
4.学生ア この場合も,もともとAは代理人に自己所有の土地を売却してもらおうと思っていた
のですから,民法第110条で保護すればよいと思います。
5.学生ウ 私は,白紙委任状の交付によって民法第109条の代理権授与表示をしたと考え,委
任事項の範囲を超えたという点で,民法第110条も重畳的に適用すればよいと思います。
(配点:2)〔第16問〕
特定の動産 以下 甲 という の取引に関する次のアからオまでの記述のうち 判例の趣旨に( 「 」 。) ,
照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№16]
ア.甲について自己の所有権の取得原因事実を証明した者から返還請求を受けた占有者が,即時取
得を理由に請求を拒むためには,自分が前主との有効な取引によって過失なく甲の占有を取得し
たことを抗弁として主張立証しなければならない。
イ.占有者が質屋から買い受けた甲が,その1年前に盗まれた品物であると判明した場合,占有者
が返還を請求する所有者に代価の弁償を求めるためには,甲の即時の返還を拒む抗弁として代価
弁償の請求をしておかなければならない。
ウ.AはBに甲の所有権を譲渡したが,しばらくの間Bのために甲を預かることにした。その後,
Aの債権者Cが,甲をAの物であると過失なく信じて差し押さえた場合であっても,BはCに甲
の所有権の取得を主張できる。
エ.Bは,Aに対する債務の担保として,A所有の甲の所有権を取得するが,引き続きAに甲の占
有・使用を認めることとした。その後,Aは,その間の事情を知らないCに対する債務の担保と
して甲の所有権をCに譲渡する契約を結んだ。Aが債務不履行に陥った後,CがBの存在に気付
いていち早く甲の現実の引渡しを受けたとしても,CはBに対して甲の所有権取得を主張できな
い。
オ.AはBに甲の所有権を譲渡したが,現実の引渡しも占有改定の合意もされなかった。その後,
AがCに甲を預けたとすると,受寄者Cは,Bの対抗要件の欠缺を主張して,その返還請求を拒
むことができる。
1.ア,イ 2.ア,オ 3.イ,ウ 4.ウ,エ 5.エ,オ
- 8 -
(配点:2)〔第17問〕
[№条件・期限に関する次の1から5までの記述のうち,誤っているものはどれか (解答欄は。 ,
)17]
1.AがBに100万円を貸し付け 「Aが医師の資格を取得したときに返済するものとする 」と, 。
約した場合について,この返済時期の約定は不確定期限といえる。
2.AがBに100万円を贈与し 「昨年死亡したCが生き返ったときは返還するものとする 」と, 。
の条件を付した場合,この契約は無効である。
3.AB間で,Bの仲介によりAC間で甲土地の売買契約が成立したら,AがBに報酬を支払うと
約した場合において,Aが自らCよりも条件の良いDとの間で売買契約を成立させたとしても,
AはBに対し報酬を支払わなくてもよい。
4.売買代金100万円を1週間以内に支払うよう催告するとともに,同時に1週間以内に100
万円を支払わなかったときは売買契約を解除するとの意思表示をすることは許される。
5.AがBに返済期限を定めて100万円を貸し付けた場合,利息の定めがあるときでも,Bは返
済期限前に弁済をすることができる。
(配点:2)〔第18問〕
, 。( , )連帯債務に関する次の1から5までの記述のうち 誤っているものはどれか 解答欄は[ ]№18
1.3人の連帯債務者が300万円の連帯債務を負っていて負担部分が平等の場合,最初に30万
円だけ弁済した者は,他の連帯債務者に10万円ずつ求償することができる。
2.数人がその一人又は全員のために,債権者債務者双方にとっての商行為たる行為により債務を
負担した場合には,当事者が特約で排除しない限り,連帯債務が成立する。
3.連帯債務者の一人に対して履行の請求がされても,それを知らない他の連帯債務者については
時効は中断しない。
4.連帯債務者ABのうちAが債権者から年利5%で金銭消費貸借をする合意をしていたところ,
Bが実際には6%で借入れをしてしまったという場合,ABの連帯債務はそれぞれ異なる利率で
成立する。
5.債権者が,300万円の連帯債務者ABのうちAのみを被告として300万円の支払を求める
訴えを提起し,さらに別訴でBを被告として300万円の支払を求める訴えを提起しても,重複
する訴えの提起の禁止に触れることはない。
(配点:2)〔第19問〕
AはBとの間で,その所有する自動車をBに100万円で売り,代金はBがCに支払うとの合意
をした。この事例に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後
記1から5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№19]
ア.AがBに自動車を引き渡したにもかかわらず,BがCに代金を支払わない場合,CはBに支払
を催告した上,売買契約を解除することができる。
, 。イ. Cが受益の意思表示をしたか否かを問わず AとBは売買契約を合意解除することはできない
ウ.CからBに対する代金の支払請求に対して,Bは自動車に瑕疵があることを理由とする損害賠
償債権をもって相殺を主張することはできない。
エ.Cが受益の意思表示をせず,かつ無資力である場合,Cの債権者DはCに代位して受益の意思
表示をした上,Cに代位してBに対して代金100万円の請求をすることができる。
オ.Bが真実Aの自動車を買い受ける意思がないのにAと契約締結した場合,Bの真意につきAが
, , 。善意無過失であっても CがBの真意を知っていれば Bは契約の無効を主張することができる
1.ア,ウ 2.イ,エ 3.ウ,オ 4.エのみ 5.エ,オ
- 9 -
(配点:2)〔第20問〕
Aが失踪宣告を受け,唯一の相続人である妻BがA所有の甲土地及び乙土地を相続した。Bは,
相続の1年後に,甲土地を代金1,000万円でCに売り渡して代金を受領し,5年後には,乙土
地を代金2,000万円でDに売り渡して代金を受領した。また,Bは失踪宣告後3年目にEと結
婚した。失踪宣告後,11年が経過し,失踪宣告が取り消された。この事例に関する次のアからオ
までの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5まで
のうちどれか (解答欄は )。 ,[№20]
ア.Aが失踪宣告時には生存しており,その3年後に死亡した事実が判明して,失踪宣告が取り消
された場合,B,C及びDがそれぞれの売買契約の当時,Aの生存を知っていたとしても,Cは
甲土地を,Dは乙土地をAの相続人Bに返還する必要はない。
イ.Aが現に生存しているとの理由で失踪宣告が取り消された場合,前記各売買契約の当時,B及
びCはAの生存を知っていたが,Dがその事実を知らなかったときは,Cは甲土地をAに返還し
なければならないが,Dは乙土地をAに返還する必要はない。
ウ.Aが現に生存しているとの理由で失踪宣告が取り消され,前記各売買契約の当時,BはAの生
存を知っていたが,Cはその事実を知らなかった場合において,CがBから甲土地の引き渡しを
受けて平穏かつ公然に現在まで占有を継続しているときは,CはAに対し甲土地を返還する必要
はない。
エ.Aが現に生存しているとの理由で失踪宣告が取り消された場合,B及びEが婚姻時にAの生存
を知っていたときは,AB間の婚姻が復活し,BE間の婚姻は当然無効となる。
. , , ,オ Aが現に生存しているとの理由で失踪宣告が取り消された場合 Bは 前記各売買契約の当時
Aの生存を知らなかったときは,Cから受領した代金のうち,遊興費として費消した金額をAに
返還する必要はない。
1.ア,イ 2.ア,ウ 3.イ,エ 4.ウ,オ 5.エ,オ
(配点:2)〔第21問〕
供託に関する次のアからエまでの記述のうち,正しいものはどれか (解答欄は )。 ,[№21]
. , , 。ア 供託は債務消滅原因であるので 債務者は いったん供託したものを取り戻すことはできない
. , ,イ 供託金払渡処理の法律関係は公法関係であるから 供託金の払渡請求権の消滅時効については
民法の規定の適用が排除され,会計法の規定による。
ウ.債権全額についての二重差押えがあった場合にも債務者は供託することができるが,供託をす
るかどうかは債務者の自由である。
エ.供託は,目的物の全部を供託することが必要であるので,複数回の一部供託をして債務全額に
達したとしても,有効な供託とはみなされない。
1.ア 2.イ 3.ウ 4.エ 5.正しいものはない
(配点:2)〔第22問〕
遺留分減殺請求権に関する次のアからエまでの記述のうち 誤っているものは何個あるか 解答, 。(
欄は ),[№22]
ア.贈与及び遺贈は,その目的の価額の多いものから順に減殺しなければならない。
イ.受贈者から贈与の目的物を譲り受けた者が減殺請求を受けた場合,譲受時に遺留分権利者に損
害を加えることを知っていたときは,その価額を弁償しなければならない。
ウ.受贈者は,その返還すべき財産のほか贈与を受けた日以後の果実も返還しなければならない。
エ.共同相続人の一人が遺留分を放棄した場合,他の相続人の遺留分はそれだけ増加する。
1.1個 2.2個 3.3個 4.4個 5.誤っているものはない
- 10 -
(配点:2)〔第23問〕
債権者代位権に関する次の1から5までの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはど
れか (解答欄は )。 ,[№23]
1.債権者は,債権者代位権行使のために必要な費用を支出したときは,その費用の償還請求権を
有する。
2.債権者は,自己の債権保全に必要な限度で,債務者に代位して,他の債権者に対する債務の消
滅時効を援用することができる。
3.債権者は,債務者が自ら当該権利を行使している場合でも,その方法が不誠実かつ不適当であ
る場合には,債権者代位権を行使することができる。
4.建物賃借人は,その賃借権を保全するため,賃貸人たる建物所有者に代位して建物の不法占拠
者に対してその明渡しを請求し,直接自己に対して明け渡しを請求することができる。
5.債権者代位訴訟の判決の既判力は,債権者の勝訴・敗訴にかかわらず債務者に及ぶ。
(配点:2)〔第24問〕
売主Aと買主Bは,A所有の甲建物をBに代金3,000万円で売る契約を締結し,BからAに
売買代金の内金として600万円を支払い,残代金は1か月後に甲建物の所有権移転登記手続及び
引渡しと引換えに支払うことを合意した。この事例に関する次のアからオまでの記述のうち,正し
いものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№24]
ア.Bは,Aが契約の履行に着手する前であれば,支払った内金600万円を放棄してAとの売買
契約を解除することができる。
イ.履行期日にBはAに残代金を提供したが,Aが正当な理由なく移転登記手続と建物引渡しに応
じなかった。その後,甲建物が落雷により焼失した場合,Bは催告せずにAとの売買契約を解除
することができる。
ウ.履行期日にAもBも自らの債務の履行を提供することなく履行期日が徒過した場合,Bの履行
, 。遅滞を理由にAが売買契約を解除するためには あらかじめBに対して2回催告する必要がある
エ.履行期日にAが移転登記手続と引渡しの履行の提供をしたところ,Bが残代金の提供をしなか
ったので,AがBに残代金の支払を催告した上解除の意思表示をしたが,その前にBがCに対し
, 。て甲建物を売る契約を締結していた場合 Aは解除の効果をCに対して主張することができない
オ.履行期日にAが移転登記手続と引渡しの履行の提供をしたが,Bが甲建物の適正な時価は2,
500万円である旨主張して残代金として1,900万円の提供しかしなかった場合,Aは催告
をすることなくBとの売買契約を解除することができる。
1.ア,エ 2.イのみ 3,イ,ウ 4.ウ,エ 5.オのみ
(配点:2)〔第25問〕
子のない夫婦ABは,Cを養子にした。その当時,Cには先妻との間にもうけた子Dがあった。
その後,CはEと再婚し,Eとの間に子Fをもうけた。なお,Aには母Gがいる。以上の事情の下
で,A,C及びFの3人は,一緒に旅行中に飛行機事故により死亡した。その死亡の先後は不明で
あり,Aは1,500万円の遺産を残した。この事例におけるAの相続人の法定相続分について,
次の1から5までのうち正しいものはどれか (解答欄は )。 ,[№25]
1.B及びDがそれぞれ750万円
2.Bが1,000万円,Dが500万円
3.Bが750万円,D及びEがそれぞれ375万円
4.B及びGがそれぞれ750万円
5.Bが1,000万円,Gが500万円
- 11 -
(配点:2)〔第26問〕
Aは,Bに対し,自己所有の甲土地を売ったが,この売買はBの詐欺によるものであった。この
事例に関する次のアからエまでの記述のうち 判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか 解答, 。(
欄は ),[№26]
ア.AはAB間の売買を取り消すとの意思表示をしたが,その前に,BがCに対し,この土地を売
った。Cは,Bから所有権移転登記を受けていなくても,BC間の売買契約当時,AB間の売買
がBの詐欺によるものであることを知らなかったときは,Aに対し,甲土地の所有権取得を主張
できる。
, , ,イ. アの場合において 詐欺のためAに動機の錯誤があり それが契約時に表示されていた場合は
Cは,例えBC間の売買契約当時,錯誤の事実を知らなかったとしても,Aからの甲土地の返還
請求を拒むことはできない。
ウ.AはAB間の売買を取り消すとの意思表示をしたが,その後に,BがCに対し,この土地を売
った。所有権移転登記がB名義のままである場合,Cは,Bから所有権移転登記を受けていなく
ても,Aからの甲土地の返還請求を拒むことができる。
エ.Aは,詐欺であることに気付いた後にBに対し所有権移転登記をしたが,その後にAB間の売
買を取り消すとの意思表示をした。取消し前に詐欺の事実を知ってこの土地を買い受けたCは,
Aからの甲土地の返還請求を拒むことはできない。
1.ア 2.イ 3.ウ 4.エ 5.誤っているものはない
(配点:2)〔第27問〕
Aは,Bから甲土地を買って所有しているとして,甲土地を占有しているCに対し,所有権に基
づき甲土地の返還請求訴訟を提起した 同訴訟において Cは 確かに 自分は甲土地を占有して。 , ,「 ,
いる しかし AはDに甲土地を売り 自分はDから甲土地を買った と主張して争っている こ。 , , 。」 。
の事例に関する次の1から5までの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
ただし,すべての売買契約について,代金支払と甲土地の引渡しはされているもの(売買契約の
事実が証明されたときはこれらの事実も証明されたもの)とする (解答欄は )。 ,[№27]
1.CがAD間の売買の当時におけるAの甲土地の所有を認めていても,Aは,甲土地を所有して
いたBから甲土地を買ったことを証明できなければ,所有権を証明したとはいえず,敗訴する。
2.Aは,Cに所有権以外の占有権原がないことを主張立証しなければ,敗訴する。
3.A主張の甲土地の所有権取得が認められた場合,Cは,AがDに甲土地を売った事実だけでな
く,CがDから甲土地を買った事実も証明できなければ,敗訴する。
4.A主張の甲土地の所有権取得が認められた場合,Cは,AがDに甲土地を売った事実を主張立
証するだけでなく,Dが対抗要件である所有権移転登記を備えた事実も主張立証しなければ,敗
訴する。
5.AD間の売買,DC間の売買が認められるが,AがAD間の売買が虚偽表示であると主張し,
これが認められた場合,Cは,DC間の売買契約当時,虚偽表示の事実を知らなかったことを主
張立証すれば,勝訴できる。
- 12 -
(配点:2)〔第28問〕
Aは,Bの代理人と称するC(30歳)との間で,B所有の甲土地を買い受けるとの売買契約を
締結したが,BはCが無権代理であったと主張して争っている。この事例に関する次の1から5ま
での記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか (解答欄は )。 ,[№28]
1.AがBに対し,売買契約の履行を求める訴えを提起したところ,Cの代理権の存在について真
偽不明となった。この場合,裁判所は,AとBの代理人と称するCとの間で売買契約が締結され
たことが証拠上認められれば,A勝訴の判決を言い渡す。
2.Aは,Bに対し,相当の期間を定め,その期間内に無権代理人Cのした売買契約を追認するか
否か確答すべき旨の催告をしたが,Bはその期間内に確答をしなかった。この場合,Aは,Bに
対し,売買契約に基づき甲土地の所有権移転登記手続をするよう求めることができる。
3.配偶者のいないBが死亡し,Bに子C及びDがいた場合,Dが追認を拒絶していても,Aは,
Cに対し,甲土地の共有持分2分の1について,所有権移転登記手続を求めることができる。
4.Aにおいて,Cが無権代理人であることについて善意かつ無過失であれば,Cに故意又は過失
がなくても,Cに対し,甲土地の転売で得られたはずの利益の賠償を請求することができる。
5.Aは,Bに対しては売買契約の履行を,Cに対しては無権代理人の責任として損害賠償をそれ
ぞれ求める訴えを提起するとともに,同時審判の申出をした。第一回口頭弁論期日にBは出頭し
て争ったが,Cは答弁書等の書面を提出せずに欠席した場合,裁判所は,Cに対する請求につい
て弁論を分離して終結し,A勝訴の判決を言い渡すことができる。
(配点:2)〔第29問〕
登記請求権に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み
合わせたものは,後記1から5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№29]
ア.未登記建物の買主であっても,売主に対して移転登記の請求ができる。
イ.通行地役権の承役地を譲り受けた者は,未登記の通行地役権者に対して背信的悪意者に当たら
ない場合でも,通行地役権の存在を否定できない場合があり,この場合には,通行地役権者は,
地役権設定当事者ではないこの所有権者に対しても,地役権設定登記を求めることができる。
ウ.売買契約に基づき土地の所有権の移転登記を受けた買主は,この売買契約を解除した場合,売
主に移転登記の抹消登記を請求することができる。
エ.不動産を買い受けた者は,第三者の名義を勝手に使って,売主からその第三者への移転登記を
行った場合,その後,この登記名義人に対して,真正な名義の回復を理由とする移転登記を請求
することができない。
オ.A→B→Cと不動産が順次譲渡され,三者間でBへの登記を省略してAからCに直接の移転登
記手続を行うとの合意が存在すれば,Bの債権者がBを代位して行ったAからBへの移転登記は
無効である。
1.ア,イ 2.ア,エ 3.イ,ウ 4.ウ,オ 5.エ,オ
(配点:2)〔第30問〕
次のアからオまでの記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのう
ちどれか (解答欄は )。 ,[№30]
ア.借地上の建物の所有権を取得した第三者は,借地借家法に基づく建物買取請求権を行使した場
合,買取代金支払まで建物の引渡しを拒むことができるが,建物の使用を継続した期間に応じて
建物賃料相当額の不当利得返還責任を負う。
イ.給付判決確定後にそれと実体的法律関係の矛盾が判明したが,それが故意による判決効の詐取
に該当しない場合には,再審の訴えによらない限り,その判決に基づき行われた給付について,
不当利得の返還は請求できない。
- 13 -
ウ.AがBの財産を無権限でCに売却した場合,Bが後にCに対してAの処分を追認しても,Aは
Bに対する不当利得返還責任を免れない。
エ.混和によって混和物全体の所有権を得た者は,所有権を失った原所有者に対して,不当利得返
還責任を負わない。
オ.即時取得によって占有物の所有権を得た者は,所有権を失った原所有者に対して,不当利得返
還責任を負わない。
1.ア,ウ 2.ア,エ 3.イ,エ 4.イ,オ 5.ウ,オ
(配点:2)〔第31問〕
次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後
記1から5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№31]
ア.短期取得時効を主張する者は,その不動産を自己の所有であると信じたことにつき無過失であ
ったことの証明責任を負う。
イ.土地の賃借人を相続し,この土地の占有権を取得した者は,例え被相続人の占有が自主占有で
, 。あると過失なく信じた場合であっても 短期取得時効によりこの土地を取得することはできない
ウ.他人の不動産を自己の所有と過失なく信じたAが死亡してBがAを相続し,さらにCがBを相
続した場合,その不動産が他人の所有であることをC自身が知っていても,A・B・Cの占有を
通算して10年を超えれば,Cは,短期取得時効を主張することができる。
エ.占有者が賃借権に基づき占有を取得した事実や外形的客観的に占有者が他人の所有権を排斥し
て占有する意思を有していなかったと解される事情が証明されれば,20年以上占有が継続した
としても,時効取得は認められない。
オ.農地法第5条により都道府県知事若しくは農業委員会の許可がなければ所有権が移転しない転
用目的の農地売買の場合には,例え買主が代金を支払って引渡しを受け,買い受けた農地の占有
を続けても,許可手続がとられていない以上,その農地を時効により取得することはできない。
1.ア,ウ 2.ア,オ 3.イ,エ 4.イ,オ 5.ウ,エ
(配点:2)〔第32問〕
, 。譲渡担保に関する次の1から5までの記述のうち 判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか
(解答欄は ),[№32]
1.譲渡担保権者が,被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合,譲渡担保を設定した債
務者は,譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときでも,債務を弁済して目的不動産を受け戻
すことができない。
2.担保権実行としての取立ての通知をするまでは,譲渡した債権の取立権限を譲渡担保権設定者
に付与する旨の債権譲渡担保契約も有効であり,このような取立権付与付の債権譲渡も,通常の
債権譲渡の対抗要件の方法で対抗力を備える。
3.譲渡担保の目的となっている商品を,譲渡担保権者の許諾を得て譲渡担保権設定者が第三者に
譲渡した場合,転売代金債権に対して譲渡担保権者の物上代位権を認めることはできない。
4.債務を弁済しないときには被担保債務の代物弁済として債務者所有の不動産の所有権を債権者
に確定的に帰属させる旨の合意があっても,目的物の評価額若しくは処分額が被担保債権額を上
回る場合には,債権者に清算金支払義務が生じ,債務者は,債権者の目的物引渡請求に対して,
清算金の支払との同時履行を主張することができる。
5.譲渡担保権を設定した会社について会社更生手続が開始されたときは,譲渡担保権者は,会社
更生手続によって権利を行使すべきであり,目的物の所有権を主張して取戻権を行使することは
できない。
- 14 -
(配点:2)〔第33問〕
Aは,甲土地と甲土地上の未登記の乙建物を共に,BとCに二重に売却する契約を結んだ。この
事例に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせた
ものは,後記1から5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№33]
ア.Bが既に甲土地と乙建物の引渡しを受けている場合には,少なくとも乙建物の所有権は完全に
Bに移転しているので,Cが善意であっても乙建物の所有権を取得することはできない。
, ,イ. Bが既に甲土地について移転登記を得ている場合には Cは善意であっても甲土地はもとより
甲土地上の乙建物の所有権も取得することができない。
ウ.Bが乙建物について所有権保存登記を行ったが,それを知らないCが甲土地について所有権移
転登記を行った場合,CはBに対して建物収去土地明渡の請求ができるのが原則である。
エ.甲土地・乙建物の双方についてBCともに未登記である場合,Bが,Cに対し,自己の所有権
の確認を求める本訴を提起し,Cが,Bに対し,甲土地や乙建物へ立ち入ってはならない旨の反
訴を提起し,お互いに相手方の所有権を争っているときは,両方の訴えとも棄却される。
オ.AB間の契約の定めに従えば,甲土地についても乙建物についてもBに所有権がいまだ移転し
ていない場合であっても,所有権を取得したCは登記をしなければ,Bに対して所有権の取得を
主張することができない。
1.ア,イ 2.ア,ウ 3.イ,エ 4.ウ,オ 5.エ,オ
(配点:2)〔第34問〕
Aは,結婚式を挙げることになり,衣裳仕立業者Bとの間で,当日Aが着るためのウェディング
ドレスをBが製作し,挙式の3日前までに完成してAに引き渡すことを目的とする請負契約を締結
した。この事例に関する次のアからオまでの記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記
1から5までのうちどれか (解答欄は )。 ,[№34]
ア.ドレスの完成間際に,Bの作業所が隣家からの失火で延焼してドレスが滅失し,挙式日までに
新たに製作することが不可能な場合,BはAに対して請負代金を請求することはできない。
イ.前記アの場合,Aが貸衣装業者から別のウェディングドレスを借りて挙式したときは,その借
賃相当額をBに請求することができる。
ウ.Aが急きょ挙式を取りやめたときは,Aは,Bがドレスを完成させる前ならば契約を解除する
ことができ,この場合,BはAに対してドレスの製作のために支出した実費のみを請求すること
ができる。
エ.AがBから引渡しを受けたドレスに修補可能な瑕疵があるときは,AはまずBに修補を請求す
るべきであり,直ちに修補に代わる損害賠償請求をすることはできない。
オ.AがBから引渡しを受けたドレスに挙式日までに修補することが不可能な瑕疵があり,Aがこ
れを着て挙式することができない場合には,Aは,Bとの契約を解除し,さらに損害賠償を請求
することができる。
1.ア,エ 2.ア,オ 3.イ,ウ 4.イ,エ 5.ウ,オ
(配点:2)〔第35問〕
AはBと売買契約を結び,目的物を引き渡して100万円の代金債権を得た。Aに売掛金債権を
持つ債権者Cは,このAのBに対する代金債権を差し押さえて取立訴訟を提起した。Bは,Aに対
して80万円の反対債権を有していたため,これをもって相殺することを主張したい。この事例に
, 。( ,関する次の1から5までの記述のうち 判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか 解答欄は
)[№35]
1.Bは,Aに対して,自己のAに対する80万円の反対債権とAの自己に対する100万円の代
, 。金債権とを対当額で相殺する旨の意思表示をしたことを 抗弁として主張することが必要である
- 15 -
2.Bは,Aに対する反対債権がCの差押えよりも先に発生していることを主張立証しなければな
らない。
3.Bは,Aに対する反対債権の弁済期がCの差押えよりも先に到来していることを主張立証しな
ければならない。
4.BのAに対する反対債権が,金額確定済みの不法行為の損害賠償債権である場合でも,Bの相
殺の主張は許される。
5.BのAに対する反対債権が,BがAに対し別訴で現在訴求中のものであるときは,この反対債
権を自働